「どうしてそんなに頑張れるんですか?」

辞めていく後輩からそういうメッセージを受け取った。

 自分個人としてそこまで頑張っているつもりはなかったし、駐在員として前線に立つからには当然のアウトプットと思ってこれまで必死になってやってきたのだが、それは日本の後輩からはそのように見えていた、ということを知り、なんとも言えない気持ちになった。

 何回かこの話題に触れているが、今年は若手やら中堅どころが日本側で次々と辞める年だった。結局、5-6人も辞めており、大半の若手とそれなりに仕事上の関わりがあっただけに、どうして辞めるのか、などという話を電話でしたり聞いたりもした。

 

 転職市場は2019年は非常に好調だったという話ももちろんあるので、良い案件を探せばいくらでもあったというのも間違いなくあったと思うのだが、それにしても多い。

辞めていく若手たちは新しい転職先をもちろん見つけて辞めているわけで、転職市場の活況や慢性的な人手不足、人材不足が拍車をかけているのは間違いがない。それでなくてもこれからは少子高齢化が加速度的に進むことによって、若手や中堅の「働き盛り」と言われるような世代の戦力は益々貴重になっていく。

 その一方で、もうあまりに変化が激しい時代、終身雇用は見合わなくなってきた、という日立やトヨタの偉い人の発信も今年は目立った。終身雇用がもう無理なのであれば、退職金積立てを前提とした低く抑えられた給与制度ももちろん見直していくべきだと思うが、そちらは維持したまま、という非常に矛盾をはらんだ状態で、世論は形成されようとしている。

 

 自分自身が若手からはちょっと「働きすぎ」に見えているということを知って、はてさて、どうしてもっと若手や日本の同僚に活躍の場をシェアできなかったのかなあ、ということも考えてしまったんですよね。

 かつては私は、自分と同じくらい人々が働けば会社はもっともっと成長するはず、と思っていました。しかし、実際にはそこまでゴリゴリ仕事に頑張れるいわゆる「エンジンを積んでいる人」というのは世の中には限られているんですよね。

 なので、実際にはいろんな人が職場にはいる、という多様性を認める視点に立って、物事を考えるべきなんですよね。そして、後輩や同僚をきちんと信頼して時間をかけて説明して、一緒にBusinessを獲得していく、という作業が今の自分には欠けているとも思いました。一人でやったほうが早いじゃん、とどうしても考えてしまいがちなんですね。でも実際には人と一緒に進める仕事でうまく進められないのはその人、つまり私の問題なんですよね。情報を共有し、相談し、確認しながら進めなければいけない仕事というのもやはりあるわけですね。若手に対しても突き放すような視点で捉えるよりも、会社を成長させるための、自分をより成長させるためのファクターだと考えて動き回るのが健康的な思考なのだろうな、とも思います。

 実力主義者の世界ってマッドマックスや北斗の拳とかそういうディストピア的な世界観で、そんなところに一人で立って野風に吹かれているのが自分の望んだ姿なのか?と考えたときに、それは断じてNoだな、とも思ったんですよね。もっといろんな仲間や同僚と意見交換しながら、成長しながら生きていきたいと思っています。

 ふと、後輩からもらったメッセージで、はたと重大なことを気づかされるのだなあ、とも感じ入りました。

 

 あと、私の場合、仕事に頑張れる理由は実はもっと単純でシンプルで、

「仕事が楽しくて、面白くて、やりがいも感じられるから」というのが素直に偽らない思いでもあったりするんですよねえ。