JETRO主催「今後のイノベーションを考える」第3回メモ

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坪田: 過去2回は日本企業を支援する立場の人たちとの間で、構えやアドバイスを聞くことができたが、今日は日本企業でも大手の大林組や日立ソリューションズの駐在者もパネルに参加しており、ぜひ活発に彼らの目線も踏まえて議論していきたい。「その会社特有の成功事例」、「駐在スーパーマン/スーパーウーマンが何かをやり遂げる」、というよりは一般化できる話をしていければと思う。日本側の本業や志の変革、SVで行っていることをスケールさせるのに取り組む話をしていきたい。まずは大林組の佐藤さんから話を伺いたい。自己紹介でも本業の管理部門である守りの部門から本業を変革する部門に7年目で変わられたとおっしゃられていたがそのギャップや心持ちを伺いたい。

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佐藤:私がSVへの駐在を開始したのは2011年3月で、そこからずっと駐在している。最初に赴任したのは本業の管理部門で6-7年はそこで仕事をしていた。私にはいわゆる事業開発などのSVらしい仕事は期待されていなかった。北米で買収した子会社や米国内の3社の拠点をまとめるリストラを最初にやった。米国内でオフィス移転をしたり、その文句を聞いたり、現地社員に日本流を理解してもらうために奮闘した。夜遅くまで米国オフィスの人たちとの調整に明け暮れていた。しかし、毎日懸命に取り組む中で、日本のルールをアメリカで無理くり適用するのは誤りだと気が付いた。米国拠点の代表者たちとどう付き合って、パフォーマンスをあげていくか、という考えにシフトしていった。

坪田:駐在したての最初のころと今で考え方や心構えの違いはあるか?

佐藤:4-5年経つと慣れてきて駐在者としての業務は結構、回せるようになってくる。そんな中で、DNXの北村さんや今はコマツシリコンバレーにいらっしゃる植野さん(当時はAGC)たちと2012-2013年頃のJETRO主催のイベントで出会い、様々なロールモデルの方々と出会うことが出来た。シリコンバレーの活用における苦労話を聞き続けていく上で、どういう組織づくりをするかというイベントだった。元YAMAHA(現TRI)の西城さんの話を聞いたりすることで、自分も夢を持つようになった。日本の建設業の置かれた状況として労働人口が減る中で、生産性を高めるというテクノロジーシリコンバレーにあるのでは、という夢、建設業のプロセスをデジタル化していく、デジタライズド大林というビジョンを持って夢を語り仲間を増やしていっている。

坪田:西城さんとの出会いでの気づきを教えてほしい

佐藤:西城さんがYAMAHAとSRIの共同開発でMotobotを作って、当時の世界チャンピオンに勝つという志、バックキャストという話やYAMAHAの内面の話などに魅せられた。よく元SAPの小松原さんがおっしゃっていた話だが、「会社で出島を作り、異質なものと交わって、変えていく」というプロセスに取り組んでいるのがまさに当時のYAMAHAの西城さんだった。ロジックだけでなく実際に実践している人に出会えたことで自分もできるのでは、と思って取り組み始めた。

坪田大林組の中で取り組むうえでの課題はあったか。SVVLはどういう取り組みか。

佐藤:建設業は受注して建設して原価を引いて余ったお金が利益。受注後に想定外のテクノロジーを入れて工程に影響を与えるというのはリスク視されるし忌避される。アメリカでは特にその傾向が強く、受注時と異なる技術を注入し、失敗することは避ける文化がある。通、工期の間には止まって調整したりしないものだった。一方でSVは失敗で成長する文化。スタートアップと大林組をつないで中間ケアをしながら実験したり、とことん英語で議論する環境をSVVLで提供している。それが、SVにあるSVVLのラボとオフィス。このアイデアはSAPやスタンフォード大学からも学んだデザイン思考からきているものだと思う。

 

坪田:日立ソリューションズの内田さんはどうか。大林組の佐藤さんはSAP、北村さん、西城さんなどSVに触れることでチャレンジをしてSVVLを生み出した。内田さんは日立ソリューションズシリコンバレーでの3代目駐在員とのことだが、引き継いで、駐在した初期はどういう気持ちだったか。

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内田:私は3代目で、駐在員は初代も2代目もとても優秀だった。最初に感じたのは自分で務まるか・・・?というプレッシャーだった。今は会社として対応する組織があるが、私が赴任した最初は体制も小さく属人的だった。思いだけで刺さる先を社内で探す活動がメインだった。スターであった先代をどう超えるか、というテーマがあった。また、前任者は後任を探すのに苦労していた。

 

坪田:私も前任(元SAP,現Wilの小松原さん)がスターだったので、当初は非常につらかった。どういう色を出そうと思ったか。

内田:最初の数か月は悩んだが、前任者や先々代は技術肌が強かった。そこではかなわないので、自分なりの色として営業やコンサル時代の経験を活かして、顧客にできることをシステマチックに整えていくことにした。社内の事業部門を顧客として捉えて、また、SVで活躍する900社の日系企業やスタートアップもまた顧客と捉えた。普通に考えるとこれらをすべて対応するのは無理だと思ったが、日本側の事業部門を全員営業として捉えて、自分が代表としてスタートアップを口説き落とす仕組みにして回すことにした。ようやく駐在開始5年目にして形が出来てきた。我々にとって日本側から関心を持ってもらうために所属部門の幹部や事業部長に対して、これまでの活動への意見や不満や考え方、どう活用していきたいかをヒアリングした。事業戦略上の困りごと、自分ができることをヒアリングして、そこに刺さるレポートを作って説明する、というサイクルをたくさん回し、社内の全社員にSVで何が起きていて、Bizモデルがどう変わってきているか、などの社内セミナーを行い、関心や認知を高めてきた。わかりやすい成果としてはシリコンバレーへの出張者がたくさん増えた。良し悪しあるが、日本だと、幹部の時間を確保するのも1時間拘束するのも秘書を通さなければいけないが、幹部層がSVへ来てくれれば、1週間とか2週間の間、密接にコンタクトしてInputすることができる。日本から駐在者への相談の依頼件数は2015年度(赴任前)には10件/年だったが、2016年は40件にまで増えた。社内での関心事を理解できたおかげで、紹介するスタートアップを事業部門で人をアサインしてくれるようになっていき、アサイン率で言うと、10%くらいだったのが、60%くらいの比率になってきた。

 

坪田:自分たちから説明するよりも日本から相談してくるようになってきたということは日本側でのSV拠点の重要性が高まったということですね。佐藤さんはCTOの戦略会議もSVで実施していると伺った。

佐藤:各プロジェクトにおいては日本からの幹部出張で1週間SVにいてもらい、観光無し、ダウンタウンに行かず、ゴールデンゲートブリッジも観ず、SVで缶詰めになってもらう大林チャレンジを毎年12月頭に実施している。社内での次年度での研究開発テーマが上がってくるが、予算決定前で、アメリカのサンクスギビング後にトップマネジメントを招待し、スタートアップとどう付き合っていくかを1年目に決め、2年目に地図とコンパスをSVで手に入れるためにどうするか、VCに投資し、3年目以降は戦略パートナーの策定、ビジネスパートナーの探索などを決めてきた。来年度にどういうシナリオとするかを話し合い、そのシナリオで方向を決めて、活動していく。SVは半歩先が見える。翌年、その翌年をどう見通して、取り組んでいくかを決める。もちろん、理想通りにはいかない。めったやたらに球を投げず、どういう球を投げるかを社内で議論して、見定めてどういう球をどう投げるかを決める。

 

坪田:DNXの北村さんはVC(Venture Capitalist)として内田さんとかかわっている。内田さんの活動をどうみるか。

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北村:最初に思ったのは「スーパーマンでないとなかなか続かない」というところ。内田さんは組織をまとめることをしてきた。ほかの人たちを巻き込んでいこうとしてきたのだと思っている。内田さん自身はもちろん優秀なので、一人でもできたと思うが、組織として動かないと続かないというのは強く感じる。

坪田:SVでの活動が成功するにはどういうスキルが必要か

北村:必ずしもスーパースターである必要はないが、ある程度、「スーパースター性」が無いと続かない。スタートアップ側の気持ちも本社側の気持ちも理解しながら、お互いをおだてながら、話を盛り上げていくすごい微妙なバランス調整が必要。スーパースターに近いスキルは必要だろう。

坪田:企業はどうやってそういう人材を探すべきか。

北村:SVでそのスーパースターを採用するというよりは、コーチの役割の人をSVで採用するのが良いのでは。社内でピッチャーを探す必要はある。日本にいるときは浮いている目立たない存在でももしかすると能力はあるかもしれない。居酒屋でただ、会社の愚痴を言っているだけの人ではだめで、会社の問題点に対してポジティブな提案ができる人が良い。あと、よく言われていることだが、SVではスタートアップが頂点で、お客さん。日本企業はどういう支援・投資をするか、自分たちは客ではなく、スタートアップが客である、という視点が無いと絶対にSVでのスタートアップとの活動はうまくいかない。経営陣や幹部をどうやってSVまで連れてくるか、が大事。SVに連れてくればいい。経営幹部がIR活動でSFやNYに行くついででもよいので連れてくること。

 

坪田:素晴らしいスタートアップを見つけたときにどうやって日本サイドを後押ししていくか?

内田:心がけていることは1つで、どんなスタートアップと組むかは手段で、目的はDXが進む中でマーケットへのリーチするスピードを速くするというのが大前提。マクロ的な視点を描いておく。例えば、コロナ下でウェビナーや動画コンテンツが急増しているが、当然、動画コンテンツを検索したり再利用したり、要約したり、文字起こししてインサイトだけ抽出したいというニーズが増えてくる。こうしたBiz環境を理解し、チャンスを狙う。日立ソリューションズがどこまで自社でできるのか、をまず把握したうえで、どこまで外部に求めていくか、を決めてから動く。あと、SVにいる人間は「わくわくセンサー」が高くないといけないし、気持ちを醸成していく必要がある。Bizチャンスを説いて人や組織を動かすのには本人がわくわくしている必要がどうしてもある。これは現地駐在に求められるもものだと思う。

坪田:今の話に関連して、SVVLではどうやってテーマを決めているか。アプローチはどういうものか。

佐藤:2016-2017年には建設にかかわるTechの話は実は無かった。が、そこからテックカンパニーが2年で建設テックにも出てくるようになり、建設業でもテックを展開してくるスタートアップが増えてきた。テックカンパニーが建設業で貢献できると思うようになったようだ。R&Dよりも、そうした会社と関係を強化する小額投資やビジネスデザインのフェーズに入っている。1年目と3年目ではスタートアップの見る目も変わっている。私たちは最初は建設テックしか見ていなかったが、今後建設業の成長率が5%から2%くらいまでに落ちてしまうという見通しだが、周辺テックが伸びると言われている。この伸びる分野にも投資を考えていく上で、東京サイドの頼れるチームにも理解してもらって、本社内で展開していく新しいマーケットへの投資スキームを作ってBiz拡大していく。SVに来る人たちはみんな読んでいると思うが、「両利きの経営」と言う本にもある「EBO」というものも参考にしつつ語っている。

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坪田:本社側との距離が年数を重ねる中でAlignしてきたと思うが、佐藤さんがSVに居続ける意味は変化しているか。いる場所がSVである必要は変化しているか。

佐藤:悩ましい質問。「SVは人で動いている」とはよく言われている。私の経験で開拓してきたという部分もある。持ち前のIntegrityとかUniqueさを考えながら、日々いろんなスタートアップや研究機関と付き合っている。私は技術者ではないが、戦略を組んで組織に落とし込んでいく経験は重ねてきた。内田さんが言っている組織として対応していく仕組みづくりは必要。仲間と属人的にはなっているので、これを組織化したいというのはある。

坪田:内田さんは良い仕組みを作っているという話が出ているが、内田さんは日立ソリューションズで本社とどういうやりとりをするか、本社とSV側で対応する仕事の線引きはうまくできているか。

内田:そもそも、「マーケットへのリーチするスピードをお金で買う」というのが日立ソリューションズのSVで仕掛けている提携の目的。スピードを落とすべきではない。SVにはあまり技術者がいないので技術評価は日本側でしてもらっている。市場性評価をする上で、日本企業と直接壁打ちをSVの900社の日系企業と行ったほうが速いこともある。我々にとってはスピードが一番重要。どっちがやる方が速いかを考えて決めている。事業としてのGo or No goの判断は事業部側だが。渡した時点では終わりではなく、見守り続けて、事業をローンチするまでSVから遠隔で事業部門の動きを見守り続ける。NDAの締結に何日かかるか、などの重要なデータだけは確認して、Keep trackし続ける。NDAは1週間くらいで本当は締結できるのに、1か月かかるのは明らかにおかしい。スタートアップ紹介した日、人がアサインされた日、市場検証した日、NDAを結ぶ日などをKeep Trackし続ける。平均値を積み重ねると逸脱したらおかしいと指摘できるようにしている。今はこれをマニュアル作業でやっているが、今後はこれをシステムで取得できる仕組みにしたい。属人ではなく、この土台を作ったうえで、組織として4代目にも引き継いでいきたい。

 

坪田:キャッチャーについて。SVがメジャーリーグで日本にキャッチャーがいないという話がある。佐藤さんはキャッチャーという言葉が嫌い?

佐藤:この話でよく滑るが。。。キャッチャーという言葉は嫌い。ラグビーにたとえると、スクラムを組んでいるフォワードとスタンドオフ。野球はプレーが止まる。キャッチャーがキャッチするんではなく、受け取った人が動き出す必要がある。どういう球が欲しいか、ということを日ごろのコミュニケーションでする必要がある。SOが本社に何人もいるのが理想。頼れるスタンドオフ役を何人も作って、組織化していきたい。SVで我々は2人しかいない。10以上のPJを2人でみている。本社のニーズを意識し、事前MTGをして、東京とスタートアップとSVVLの3者で2週間に1回打ち合わせをしている。東京サイドには今10人を超えるチームがある。各事業部にちゃんと球を受け取って走ってくれる人たちを東京サイドが理解している。

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北村:つまり、、、ピッチャーとキャッチャーが逆ということ?(シリコンバレー側がキャッチャー、本社がピッチャー)

佐藤:そうかもしれない。

坪田:佐藤さんが気を付けていることとしてどういうことがある?

佐藤:シナリオを共有するというのが一番大きい。メールでは伝わらない。毎日、SVの月―金で東京とはほぼ毎日、MTGをしている。東京サイドには土曜朝にも出てもらっている。メールでは伝わらないことがMTGで伝わる。TV会議ですごく効率よく、東京の肌感覚を得られる。ほしい球をほしいタイミングで出せるようになっていると自信を持って言える。

坪田大林組だからできた、とか佐藤さんや内田さんだからできたという話ではない、という話にしたくない。北村さんは他の企業がどこまでこういう彼らの仕組みを真似していけると思うか?

北村:本社の意向をクリアにしていくのは重要。「SVにいる人はスーパースターである」というよりは日本側がクリアにメッセージをSV担当者やスタートアップに出していくことがすごく重要。本社が欲しいもの、ビジョンを具体的、かつクリアにしていることが重要。良くて安くて早いものとか言ったって、抽象的で伝わらない。もっと具体的にイメージを伝えていくことが必要。「SVには何かあるでしょ」ではなくて、「こういうものが欲しい」という注文を本社が持っていることが必要不可欠。

坪田:北村さんをはじめとした日本企業を取り巻くエコシステムはどう日本企業をサポートしているか。思いを聞かせてほしい。

北村:宣伝みたいになってしまうが、、、世の中の変化は早い。SVのベンチャーが作るものをどう取り入れていくかが非常に重要。SAPがSVに4000人もエンジニアを雇っているのもそれが背景。そうしたことをSVで活動するのにVCやアドバイザーやコンサルがいっぱいいる。DNXでも30社くらいと事業会社と付き合っているが、ガイド役としてガイドしていきたい。限界はあるが、スタートアップを紹介する仕組みづくりはできる。

 

坪田:コロナの影響に関して質問が来てる。日本企業がSVで活躍するうえで、そして、スタートアップへの影響も大きいと思う。

北村:コロナから2-3か月経ってきている。ほかのVCとも話をする中で、投資先の1-2割はポジティブに捉えていて、ほとんどの会社は影響がなく、2割くらいがマイナス影響を受けている。事業を伸ばしたりBizを作っていく必要がある企業もある。こうした企業は顧客を探す必要性には駆られている。SVもカネ余りでUS市場ばかりを見ていたが、US市場がスローダウンしている中で、日本企業や日本市場に興味を持ってくるスタートアップは増えていくかもしれない。ここで日本企業がSVへの投資や事業開発から引いてしまうと、日本人はただ、物見遊山に来ただけと思われるだろう。

内田:SV活用機運への変化としては、コロナ影響ありつつも、この活動は一過性ではなく、オープンイノベーションもクローズドイノベーションもどちらも重要。SVの重要性は変わっていない。コロナでも重要性は変わっていない。コロナはリーマンショックのリセッションとは形が違う。進化や改革への圧力がとても強い。社会も政府も個人も会社も世界中で変わっていっている。IT化はSIer目線でもすごい勢いで起きている。変化はチャンスなので、このチャンスを逃さないようにできる限りのことをやろうとしている。最近は変化を先取りできるところにいるので、日立ソリューションズとしてどこを狙うか、というのを注力している。

出張制限への影響回避をどうするかという点でみると、SVの発信力は実はコロナ渦で高まっている。コロナ以前はオフラインで集合型セミナーを1年や半年に1回していたが、今は1か月に1回など社内でウェビナーを行い、社内で配信している。今までスケジュールの都合でウェビナーを見られなかった人も見られるようになっている。ウェビナーへの反響も経営層からも出ている。

 

坪田:このウェビナー参加者は日本企業の日本サイドからの出席者の人も多い。そういった方々に向けてもメッセージをいただければと思う。

佐藤:東京サイドの方々に対してはSV駐在者の声をしっかり聴いて共感して、新分野へのチャレンジ精神を育んでほしい。SVにいる人たちに言いたいのは、東京批判をしている人たちもいたが、飲んで東京批判する時間には東京は昼間なんだから、ぜひ東京サイドと志を共有してほしい。

内田:SVは個人の世界。個人として主体性をもって会社のことを考えながら動けるようになるのが重要。SV駐在者は「わくわくセンサー」を持つべき。そもそも駐在者がわくわくしないと何も始まらない。自分のわくわくセンサーを鍛えてほしい。このわくわくに共感してくれる人を作っていくことで会社を動かしていってほしい。

北村:わくわくセンサーには勝てないが、、、日本側にいる人たちに伝えたいのは自分が欲しいもの、必要なものをクリアにして日本からSV担当者へ発信してほしい。発信力を磨いてほしい。抽象的ではなく、会社が抱えている課題や問題を発信してほしい。

 

坪田:Q&Aに移りたい。

Q. USでベンチャー企業に出資して、日本人を取締役に任命した。経営のノウハウがない。言葉の問題で経営に参画できない人もいたりする。どうアメリカ人と渡り合えるか、どうやったらNational Staffを巻き込めるか。

佐藤:投資会社へのオブザーバーする経験もしたが、全く管理部門の仕事とは違った。自分の中でハードルを下げてアクションをする勇気を持つこと。アメリカ人にPureなアメリカ人はあまりいない。ホームカントリーがUSではない人がSVにはたくさんいる。英語も話せば、一生懸命聞いてくれる。誠実にMTGに準備して言いたいことを臨めば、BODのオブザーバー的な仕事を果たせるようになった。Take Actionしていくべき。

内田:National Staffとのやり取りをできるメンバーをどう育成するか。準備して言いたいことを伝えるのは大事だが、言語の問題はある。これは避けられない。大きいマーケットへ通じる言語話者をどう育成するかは会社として解決していく必要ある。大企業人材はスタートアップの立場を理解して、大企業の経験をアンラーニングして話をしなければならないだろう。

北村:ボードになるというのは会社の成長に尽くせるかどうかという話。ボードには株主訴訟リスクがあるので、あまり、事業会社の人がやるべきではない。会社の成長に尽くせるかどうか、というのが重要。USメンバー活用についてだが、マネジメントスタイルの問題。SVで本当に優秀な人はどこにいるか。一番優秀な人はスタートアップを目指す。次にGAFAで優秀層が働いている。日系企業にいるNational Staffはどこまで優秀?そこまで悩まないでもいいのでは?

 

Q. 駐在員3年タイマー問題についてどう考えるか。

内田:ローテーションはハードルになるのはわかる。ただ、一定の人が根を張って活動するのは重要。研修生を送ったりもする。わくわくセンサーを鍛えられても日本に帰国して辞めてしまうという話もある。他社に移ってしまってネガティブインパクトが大きくなる。人に依存しないで会社としてSustainabilityをもって活動できるようにすることが大事。

坪田:前任が3年だったので、自分もそろそろ、、もう少しいたいが。SAPのグローバル責任者と話をしていて、サイクリックに人を回したいというのはある。SAPの上層部はInfuseというか空気づくりを考えている。SAPは開発サイクルを早める雰囲気をSAP全体で広げたいと言っている。

 

Q. 本社が戦略だしをするのはわかるが、抽象的な指示から脱却できない本社はどうやったら変貌できるか。

北村コマツYoutubeで動画を発信している。

www.youtube.com

ぜひ見てほしい。ビデオやPPTスライドを作って自分たちがどういう未来を作りたいかを考えさせるのは非常に重要。DNXでもLP(Limited Partner)の事業会社とは一緒になって作っている。こういう活動は非常に重要。

 

Q. 駐在員に求められるスタートアップ発掘に伴い、駐在員にはどういう技量が求められるか。

坪田:今回は日本とやりとりできる制度や仕組みを作るという話に重きを置いたが、次回は西城さんも登場する。「優秀な人を置く」といういかに圧倒的なスーパースターをSVで作り上げるかという話を来週はしていきたいと思う。次回も皆さん、ぜひご参加ください。