FF7リメイクをプレイした感想

FF7リメイクは面白い作品に仕上がっていた。

このためにPS4を買ったようなものなので楽しみで仕方が無かった。(ラストオブアスという名作がPS4買った時にバンドルで付いてきたのでそっちはそっちで最高に楽しんだのだが)

 

事前に思っていたよりもはるかにやりごたえのあるゲームになっており久しぶりにRPGに没頭した。(かなり前にプレイしたドラクエ11 も楽しかったけど)

 

 FF7といえば、中学生の時にコンビニエンスストアで発売されたのを無理やりに買いに行ったのを今でも覚えている。どこで買ったかな、、、とにかく自転車で遠くのコンビニまで買いに行ったんですよ。(うちの地元には当時、あまりコンビニが無かった)CD-ROMが3枚組になっていたり、最初のムービーに度肝を抜かれたり、その複雑なストーリーを当時、熱中してプレイしたのを思い出します。

 

さて、そんなFF7のリメイク、クリアしました。ネタバレします。

 

 

 FF7リメイクはFF7当時の技術力では出来なかったあれこれをグレードアップして再現しながら現代のCGやフルボイスでミッドガルという巨大な箱庭を作り上げることに成功した。ストーリーとしては特に分岐も無いため、一本道であり、脇道は殆ど無い。厳しいレビュアーに言わせればまだまだ課題は多く、水増しにしかなってないとか、戦闘がかったるいとか色んな批判もあるが、新要素が追加され、話がどんどん元の作品とは違う方向に進み始めるに従って、面白さは加速していった。2020年を代表するRPG作品であることはまずもって間違いない。(もはや、きょうび、あんまりJ-RPGなんてプレイされないのかもしれないが)是非とも誰かスクエニにじゃぶじゃぶお金を注ぎ込んで続編完成発売を急がせて欲しいものである。

 

もういろんなところで語られているがこれはFF7のリメイクに見えて全く違う結末を迎えるだろう別の作品の一作目である。奇しくもFF7が当時、ひどく内省的な主人公クラウドの物語で、エヴァの影響を色濃く受けたと思える内容だったことを考えると、まさにFF7リメイクはエヴァ新劇場版序的なお話の展開を迎える。シンFF7と言っても良い。

 ほかの方々も指摘している。

subculchan.com

coyuc.exblog.jp

 少しずつお話の中で過去作品との違和感が大きくなっていき、そして、そのプレイヤーが感じるストーリーへの違和感はまさに劇中に出てくる運命の番人ことフィーラーによって表現される。フィーラーが出てくるシーンは幾つもあるが、ことごとくFF7本家のあらすじから外れようとするシーンであるからだ。作中でもそのように説明されて度肝を抜かれた。そんなのありか。まさにFF7メタフィクションを示唆する存在が劇中で随所に現れ、そして、遂にはラスボス手前のボスとして君臨する。高速道路戦以降、激闘が続くし、明らかにならない情報とここで明らかになるもはっきりしない示唆的な表現も多く、エンディングでまたもやいくつか衝撃を受けるため、なかなか整理しきれない人が多い。

 自分もそのうちの1人だが色んな記事を読んで、色んな動画も見て、振り返っていくことでようやく自分の中でもある程度整理がついた。 

 お話的にはまさにミッドガルまでしか進まないため、「俺たちの戦いはこれからだ!」的な終わり方であり、実際そうなのだが、続編発売日がまだ発表されていないこともあり、非常にじれったい状態であることは間違いない。

 今回のストーリーやキャラクターの生死について、去就やその正体については色んな予測推測言説があるが、それらは既に関係各所で相当語られているため、置いておくとして、作品の変遷や時代性について考察しておきたい。

 

なぜ、今この時代2020年に、FF7リメイクはこんな話(やり直し系、ループモノ)になったのか?(2015年に発表してるので、開発期間長過ぎ…という問題は置いておいて…)

 

 FF7を考察するときにやはりFF7の物語の特殊性について触れないわけにはいかない。なぜならFF7を除けば、それまでのいずれの作品においても基本的にはキャラクターがたくさん出てくる群像劇であり、数多くのキャラクターが活躍するが、その内面を深く掘り下げることはなかった。ロムカセットでの容量の限界、2D 2頭身キャラでの感情表現の限界という面もあったろう。間であるとか、情景描写で物語を紡ぐタイプのストーリーテリングであった。FF6で言えばロック、FF5で言えばバッツ、FF4のセシルなどはそれなりに過去が描かれるキャラではあるものの、内面を描くというよりは過去の行動を回想で少しだけ振り返るものが多かった。(ロックはレイチェル関連、セシルはそこまで過去描かれない、バッツは過去の両親関連くらい?)

 

 もちろんFF7でも各キャラクターの来歴や過去について掘り下げる部分は勿論あるがそれよりもやはり大半の時間を使って語られるのはメインキャラクターであるクラウドのあやふやな記憶、何度も語り直される過去、セフィロスとの過去の因縁などの面が多かった。

そうした話は下記のような記事でも指摘されている。

 

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 FF7とは打って変わってFF8ではあまり暗い過去の無いスコールというキャラをメインに据えて、話を展開している。(親の世代の話は親が実際に出てくることで話が展開する。改めて調べ直すとスコールの過去も色々複雑ではあるが。。)FF9では主人公のジタンはもっと明るいし、FF10ティーダもまたそうだ。FF12では主人公は空気と化してしまい、13は話がごちゃごちゃしていてとてもじゃないが、お話を楽しめる構造にはならなかった。(ファンもそれなりにいるが、酷評する人も多い)15は未プレイだが、もはや、ルックからしてプレイしたいと思わせる要素が無い。ファイナルファンタジーは挑戦的なJ RPGの代表格ではあり、毎作品ごとにさまざまなシステムやストーリーやキャラクターや世界観に挑戦してきてはいるが、13以降は失敗が目立つ。それはあまりにこねくり回し過ぎているからだと思っている。実はFF7にもその片鱗は見え隠れするのだが、それでもお話としてはまとまりがあった方ではあるのだろう。

 

 ゼノギアスFF7は当時のスクウェアの特徴的なストーリーテリングとド派手なCGやアニメーションによって一時代を築き上げたと言っても良いが、この2作品はその数年前の大ヒットアニメであるエヴァの影響を色濃く受けているという話もよく指摘されている通りである。ゼノギアスの主人公とFF7の主人公に着目すれば、それはよくわかるところだろうか。とにかく揺れがちなあやふやな自我であり、過去もはっきりしなければ、旅の目的も自発的なものというよりは周りに動かされていく翻弄されていくストーリーであり、そして、ある時点において自己が崩壊したり、人格統合の話が出てきたりする面でもかなり内面を掘り下げるような演出が多い。いずれのゲームも脚本家が影響を受けたのは間違いなさそうだが、この90年代後半の創作物って多かれ少なかれ、当時社会現象にまでなったエヴァを意識せざるを得ない話が多かったようには思う。

つまり、

・無駄に細かい設定とかリアル描写、細かい舞台背景、(他だと極太明朝体とか)

・意味ありげな伏線、回収しきれない伏線多数、それでも謎が謎のままでもその謎をちりばめることで物語の推進力にしてしまうというある意味、強引な作劇

などである。

 

 FF7もまた各所で指摘される通り、クラウドはヒロイックな登場とは裏腹に彼自身が序盤で言ってたことはおおよそ全部嘘であり、本人はそう思い込んでるだけ、と、かなりプレイヤーを困惑させるキャラであり、序盤のクールで無愛想なクラウドは後半では自我が崩壊した後に立ち戻ったときには完全に方向性の違う柔和な言動さえ見せるキャラになる。(クリア後の別作品ACなどではまたクールなキャラになってはいるのだが)

 

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 FF7リメイクではミッドガル編までなので、本家ではまだミッドガルではクラウドが出てきたばかりで、こうした複雑な内面の話にまでは至らないだろうなあ、どうやって話を展開するのかな、と思っていたが、今回のストーリーはまさにエアリスやセフィロスを起点とした「ループもの」の様相を呈した。まずもって、各キャラのセリフが激増してるわけだが、エアリスに関しては思わせぶりなセリフ演出が格段に増えており、途中からはもはや、「本家FF7では知らなかったことを既に知ってしまっている別のエアリス」であることは確定的になっており、物語の新たな水先案内人と化していく。それでも謎が残ったまま次回作へ持ち越しなわけだが…。

 

 敵役セフィロスは正直、過去作未プレイだと、一体何をしたい人なのかさーっぱり分からないので、これは恐らく制作上の大きな問題なのではないか?とは思うのだが…(開発スタッフは真っ白な気持ちできちんとプレイしたのかな?FF7を知らないプレイヤーにモニターさせたらぜったいそういう意見は聞けたと思うのだが) プレジデント神羅が死ぬ必然性とかも明確には語られないまま。

 

 またエヴァかと思いきや、その世界観を引き継ぎながらもループものにいつの間にか変容していく、という演出のゲームだったとも言え、これはまさに演出で言えばエヴァ新劇場版的でもあり、新解釈による新たなるストーリーを始めてしまった、しかも、運命の番人を打ち倒したのでお話的には次回作以降はどう展開しても良くなった。

 とはいえ、あくまで、本家をベースにして話が進むとは思いますが…(たとえば、ケットシーもチラッと出てくるし、レッド13の話とかやらないわけにはいかないわけで…ヴィンセントやユフィ、シドなど、話を盛り上げる仲間はまだまだいるので、果たしてこれが次回作構築にどう貢献するのか?という期待と不安は大きくなるばかり。

 

 次回作の発売日すらまだ公表されていないという前代未聞の分作ですが、次回作も首を長くして待ちたいと思います。多分、PS4でも出てくれることを祈りつつ・・・。