猫を日本へ連れてサンノゼから本帰国その1(2021年1月)

本帰国にあたって、猫を「日本に輸入」することになる。

 

猫ないしは犬の輸入にあたっては日本国政府は複雑なプロセスをクリアすることを求めている。そのため、「来月帰任してね」と言われてできるものではない。相当の日数をあらかじめ確保した上で帰国に臨む必要がある。

 

全体の詳細なプロセスは以下の検疫所のウェブサイトを参照してほしい。

www.maff.go.jp

 

狂犬病の予防接種と抗体検査

 上記のサイトをもとに着々と輸入のためのプロセスをやっていくことになる。時間がかかるプロセスがいくつかあるが、まず、狂犬病の予防接種が時間がかかる。マイクロチップは埋め込んでいる人が今日では多いのではないだろうか。

 予防接種だけであれば、それほど時間はかからないが、予防接種を2回実施するのに時間がかかる。30日以上時間をあけなければならない。理想を言えば、予防接種を2回済ませた上で、抗体検査を受けて180日間待機して、その2年後に再度、抗体検査結果が有効なうちに再度、予防接種を接種する必要がある。なのでペットをアメリカなどの国から日本へ連れて帰ろうという予定がある人はこの狂犬病の予防接種の期限が切れないように、そして抗体検査結果の有効期限が切れないように繰り返す必要があり、このコストはなかなかのものになる。任期が2年の人はぼやぼやしていると困ったことになる。(抗体検査結果は2年間しか有効ではないので、逆算してまた接種していく必要がある。)

 とはいえ、家族の一因である猫や犬のためであればお安いコストということになる。

 

つまり、このプロセスは駐在員の場合、会社から帰任を言い渡されるよりも先に済ませておき、いつでも備えておく必要があろう。うちも妻がいつもお世話になっているLos AltosのAdobe Pet Hospitalにて、相談して常にこのプロセスを済ませてきた。抗体検査証明の取得にも時間がかかる。抗体検査証明を発行するのはカンザス州の特定施設のみの様子。

 

■動物検疫所への連絡

 次に事前届出を日本の着地空港の動物検疫所に40日前までに実施する必要がある。つまり、40日以上前に帰国のフライトをまず確保して、その日程よりも40日前に動物検疫所へ連絡を行う。なので、もし、帰任が決まったら、取り急ぎ帰国日程を決めて帰国便のフライトをさっさと確保してそのフライト便でペットの輸送場所を確保する必要がある。

うちは1月6日のフライトに決めた。

 航空会社によるが、ペットの輸送に関しては場所が限られているケースもあるため、航空会社に電話やメールで要確認である。(うちの場合はLAのANA Sales Americaに依頼してチケットを取ってあるので、そこにメールで連絡した。エビデンスが残っていると安心)

 

■輸出前検査

 動物検疫所が求めている出国の10日前の輸出前検査は獣医で実施してもらうことになる。(昔のブログを見ると、この10日前というのも昔は決まっていなかったようだ)その輸出前検査にはワクチン接種証明や抗体検査証明を揃える。Form ACは自分たちで事前に作成して、動物検疫所にもメールで確認しておいてもらう必要がある。

 その後、獣医の検査が済んだ後に、USDAに裏書きをもらう。この裏書はエンボススタンプが押された原本(Original)である必要がある

 

つまり、USDAは原本を発送する必要がある。

 

 ここからが今回の私たちの苦闘の始まりだった。駐在開始して7年間お世話になってきたAdobe Pet Hospitalの対応が残念なことに辛かった。

 まず、フライト日程が決まってから早急に予約を電話で2回取ろうとしたら、「その日の2週間前の12月某日にならなければ、予約は開始出来ない」という。なので、2週間前に電話したところ、「12月27日と28日は獣医がいなくて対応できない」という。

なので12月31日と言われたのだが、12月31日だと12月31日、1月1日、2日がUSDAがおやすみのため、どう考えても裏書きをもらうプロセスが綱渡りになりすぎる。そこでAdobeへ懇願して無理矢理予約をねじ込んだところ、12月29日の夕方5時に予約することになった。Adobe Pet Hospitalはまた、後述するが、VEHCSという電子プロセスに対応していない。時間がかかることが予想された。再度、電話で懇願するものの、「12月27日と28日は予約がいっぱいで対応できない」、という。最初と言ってる内容が変わっている・・・。この7年の間、Adobeにはとてもお世話になったのだが、残念ながら、このままだと、大変に危険な綱渡りをすることになるので、12月27日ないしは28日に対応してくれる獣医を12月中旬から探す羽目になった。

 獣医さんの話ではなく、一般的な話として、年末年始はアメリカのお店やサービスはおやすみのところや主力級が休みで実質開店休業のところも多く、あまりきちんと対応してくれないケースも多い。で、なんとか数件の獣医に電話しまくって実績のあるところから選ぼうとFBの某地域コミュニティでおすすめされていた獣医を1件予約できた。

名前は今回書かないが、そのある獣医さんが27日朝(10日前)の予約を受け付けてくれた。この瞬間、やったー!と感謝したが、その後、衝撃の展開が訪れる。

 

12月26日にクリスマスの余韻も冷めやらぬ中、そのとある獣医から電話がかかってきた。

「申し訳ないのだけど、明日の予約は対応できない。対応するはずだった獣医がSnow Stormの影響で明日、来ることができない。明後日対応できるかもわからない。明日になったらまた連絡する。」 

 

な、なんだってー!!?

 

こ、これは大変だ、なぜなら、前回獣医を探して電話しまくった時もほとんどどの獣医も予約でいっぱいで「年明け1月8日とか10日とか18日まで予約できません」とか言う獣医さんばかりであった。私たちのフライトは1月6日。そんなに待てるわけがない。信頼のできる獣医の予約をできるだけ早く確定させられるところを予約しないといけないなあとつくづく思う。あと、やはりホリデーシーズンに帰任するのは無理ゲーだと言うこと。。。そして、私たちには別のPCR関連・隔離関連の難題もある。(後述)

 明日12月27日の予約・・・は、やはり何件電話してもダメでした。

 

■地獄に仏

 アポを取るときには「USDA Accredited Health Certificate for international travel to Japan」のアポを取りたいと言うことで電話をたくさんしました。動物病院によってはこれを対応してもらえない可能性があると考えた。USDA Accreditedのプロセスをできる獣医はUSDAのWeb Searchで調べることができるのですが、ウェブサイトで自分たちの近所で検索すると100人くらいの連絡先が出てきました。。。。で、その中ですぐに見つかったBanfieldに電話したところ、非常に紳士的な対応で、「まずはアカウントを作っておくといいよ」と言ってくれ、さらに12月29日の朝の予約を取ってくれました。しかも、他に予約が取れたら別でやってくれても構わないとすら言ってくれました。(神対応・・・!!!)

 Banfield Pet HospitalはPet Smartと言う大手Pet Shopチェーンの併設の動物病院なのですが、これが店舗がたくさんあったので、そこらじゅうの店舗に電話しました。アポを取る際にこちらの困っている事情を話すとたいへん紳士的かつ協力的で応援してくれて、アポがたとえ取れなくても、すごく優しくて断られまくる中で大変精神的に助かりました。Pet Smartにはこれまでも何度も足を運んでいましたが、こういう動物病院が近くにあるとは知りませんでした。

 結局Banfield Pet Hospital Daly Cityの12月28日火曜朝8時15分の予約に相成りました。(その後、12月29日、30日の予約はキャンセル。これでも12月30日よりははるかにマシだと捉えました。Daly CityはSan Mateoの程近く、いわゆる南サンフランシスコと呼ばれるエリアです。少し進めば海沿いにも出られるような風光明媚な山の上にある町です。

12月27日は中古車を売却。(この話はまた書きます。)

 

12月28日は朝早起きして一家総出でこの動物病院に行きました。(既に妻の車が無いので妻や娘と私が別行動ができない。)Daly Cityは車で40分くらいかかる結構遠い場所にあります。さて、動物病院では無事猫をドロップオフしたところ、昼2時頃にまたきてねと言われました。一度帰宅した後、また向かいましたが、結局待てど暮らせど呼び出されず、3時半くらいに「4時半から6時半くらいになるから終わったら連絡する」と言う連絡を受けました。私たちはこの後、書類をFedExでUSDAに送付しなければいけないと思い込んでいました。

 

この時点で実は私たちは最大の勘違いを犯していました。

 

■USDAの裏書プロセスについて

USDAの裏書きをもらうためにはOptionが2つあります。

 Option1:VEHCSプロセスで電子的に申請する方法。

 Option2FedEx Expressで送付して申請する方法。

 

 必要になる書類関連は同じなのですが、獣医が電子申請するのか、飼い主である私たちが書類郵送で申請するのかの違いがあります。Option2のほうが時間がかかる、とUSDAのWebsiteをよく読むと書いてあります。

 で、これは私たちの完全なる過失なのですが、私たちはAdobe Pet HospitalがOption1ができない、と言っていたことから、Option2しか頭に無く、しかも、Option1については電子的な署名が送られてくる、と思い込んでしまい、電子的署名は受け付けてもらえないと勝手に思い込んでおり、Option1では困るので、きちんとOption2でやってもらわないといけない、とも思い込んでしまっていました。(後述しますが、Option1でもきちんとエンボススタンプされた裏書きされた書類が郵送されてきます。)

 

 下記の記事を読んでいると2020年3月頃はサクラメントに訪問し裏書を取得できたようですが、2021年12月現在、サクラメントでは直接のOffice訪問はできません。コロナ対策でどこにも住所が書かれなくなってしまいました。(メールは返信してくれます)

it-onchi.com

 

 カリフォルニア州だと、あとはエルセグンドであれば直接訪問して朝7時半に裏書申請をできるようですが、エルセグンドまではシリコンバレーからは車で5時間半以上かかるため、現実的ではなかったです。LA在住の人はこちらを利用しているのでしょうね。

ameblo.jp

 

 で、州は違いますが、コロナ禍における電子申請のケースでは下記の方の記事がたいへん参考になりました。

 Option1で電子申請の場合、獣医のサインは電子的にUSDAに送付されるため、電子署名になっています。

 で、VEHCSプロセスでは不可避の獣医の電子署名はコロナ禍により、動物検疫所的にもOKになったと言うのが下記記事に記載があります。つまり、「VEHCSを使うOption1は現在のところ、日本の動物検疫所は受け付けてくれる」と言うことになります。

 働き方改革の加速を少ーしだけ感じます。

 

理想はUSDAと動物検疫所でシステム的に繋がってくれると大変助かるんですけどねえ。多分、22世紀になっても無理なんでしょうね。日本がアメリカの属国にでもならない限り。。。)

nekoamerikaheiku.info

 

 近所の公園で子供達を遊ばせたり、FedExまでわざわざ下見にも行ったけど、全く連絡がなく、夕方5時半頃、もう待つのに飽きて近くのスタバで待っていると、Banfield Pet Hospitalに呼び出されて猫を返してもらい、検査証明書を受け取ると、もともとこちらが手書きで用意されていたForm ACではなく、先方で入力しなおしたForm ACが返却された。

 獣医のサインが入っている。しかも、申請費用の121ドルも支払い済みになっている。(Option2の場合はクレジットカードの支払い情報を紙に書いて同封する)

 このとき、獣医から渡された書類を全部きちんと読めばよかったのですが、FedExに早く書類を出さなければと勝手に勘違いして気が急いていたので、あれこれと質問をしようとすると、獣医側は電子プロセスで支払いも完了しているよ、とだけ言ってくれたのですが、そのほかにUSDAのプロセスに関して説明を聞くことができなかったのです。

 Pet Hospitalの中でもこの全体のプロセスを理解していたのはおそらく獣医のみだったと思われます。受付の方々もよくわからない、といい、獣医も忙しかったのか、すぐに引っ込んでしまい質問ができませんでした。

 で、ここでひたすら粘ればよかったのですが、FedExのことばかりで頭がいっぱいになっており、もらった書類もよく読まずにFedExにむかって、Overnightで書類を一式用意していたものと一緒に発送してしまいました。これが最大の勘違い。

 

 Overnightを送ろうとしてFedExでアカウント登録しようとすると、今度はアカウントは登録できるものの、Shipment Labelが作成できない。で、FedExの人に食らいついてあれこれ聞こうとするものの、いっこうにShipment Labelhが作成できない。仕方なく、アカウントと紐付けをせずにラベル作成してもらったところ、なんとか作成できた。しかし、Return Labelも同封せねばならないと言う規定があったが、こちらも作成ができなかったため、手書きラベルを無理矢理作って、先ほど作ったばかりのアカウント番号を入力してOvernightで到着するようにしておいてラベルを同封してFedex Overnightで発送した。

 Option2であれば、この手順で大正解なのですが、獣医がOption1のVEHCSプロセスで進めている場合は、上記のFed Exによる発送はやる必要がないプロセスであることに気がついたのは、翌日、12月29日の夕方遅くにFedExに登録していた電話番号にFedExがDaly Cityから発送されました。1月3日に到着します。」と言う通知がきてからでした。

 

 ん?いくらなんでも12月28日に獣医が申請して、12月29日に何らかの書類が獣医のいるDaly Cityから発送されてくるのはおかしくないか?となり、まず、あれこれ調べていくうちに前述のブログを発見し、BanfieldがOption1で進めていて、Option2の対応は全く不要であることをようやく、理解しました。ずーっとOption1という選択肢が私たちの頭にありませんでした。

 一体どういう書類が送られてくるのか?夕方に電話しても受付はOfficial Documentsとだけしか言わず、Endorsedされた書類かどうかわかりませんでした。

 しかし、それでもどうしてDaly CityからOfficial Documentという荷物が発送されるか?早すぎるのでは?となりました。不安な気持ちでいっぱいになったので、Banfieldの獣医さんのメールアドレスに質問メールを入れました。が、夜は正直寝られないくらい不安な気持ちになり落ち着きませんでした。フライトやPCRや隔離先や宿泊先やハイヤーを全部変更しなければいけないとこれは大変なことになります。

 また、送付してしまった書類に関してはUSDAにまでメールをして、書類を返送して欲しいと言うリクエストをする羽目になりました。

 

 翌朝からBanfieldに電話するも受付しかおらず要領を得ないのでヤキモキしていると、FedExから近所まで書類が来ているという通知がスマホに来たので、すぐにPick Upで受け取る手続きをして、車で妻が受け取りに行きました。(放っておくとFedExで1月3日まで留め置かれるケースも想定できたので。)

 

 どういう書類がくるのか、不安に思っていましたが、実際に封筒を開けてみると、立派なエンボス印が押された書類でした。

 

これやー!これが欲しかったんやで!!!(思わず関西弁)

 

 えー、どう言うことかいまいちまだわからないと思いましたが、その後、獣医さんからの落ち着いたメールの返信で以下のプロセスで進むと理解しました。

(これは獣医によって対応が違うかもしれませんが。。。)

 

1:飼い主が一連の書類(狂犬病予防接種証明2回分やForm AC(Health Certificate)、カンザス大学の研究所の狂犬病抗体検査結果を用意して獣医に依頼する

 

2:獣医が検査をした後、Form ACを作成し、必要書類をVEHCSプロセスを介してUploadして、USDAに裏書を申請する(VEHCSというのはUSDAのシステムなんですね)

 

3:USDAはVEHCSプロセスで獣医が電子的にアップロードした書類を確認する。そして、プリントアウトした上で裏書き・サイン・エンボススタンプした書類を獣医もしくは飼い主に物理的にFedExなどで発送する。(USDAは依頼されたReturn Labelを元に発送をします。VEHCSのプロセスを読むと、USDAは「Return Labelの送り元(Sender)をUSDAにはしないように」指示しています。獣医がそれに従うとすれば、獣医は自分たちの動物病院の住所をSenderの欄に入力していたと言うことになります。(なので、FedExからはDaly Cityから荷物が発送された、と表示されていたのですが、実際にはそうではなく、送り状の上ではそうでしたが、書類そのものはサクラメントから発送されていました。)

 

 今回の場合、BanfieldはReturn Labelを既にUSDAに対して依頼をかけており、そのため、FedExのラベル上では発送元がDaly Cityになっていたものの、実際には裏書された書類は直接サクラメントのUSDAから私たちの家へ発送されたということでした。

 

(このHandling CostやShipping Costもよく見るとBanfieldの請求書に書いてありました。よく読むべきでした。大反省。。。)

 

動物検疫所からも返信があり、Form AC以外は原本でなくても良いということがわかり、なんなら、狂犬病予防接種証明も抗体検査証明も原本は不要、コピーで構わない、ということでした。

(そもそも、Form ACは狂犬病予防接種証明や抗体検査証明を元に作成しているので、納得と言えば納得なんですが。)

 

今回の一件で学んだ教訓は大事なことは家族で協力してしっかりと確認しながらやりましょう、ということでしょうか。。。

 

あとは、無事にフライト日を迎えるだけ。。。。とはいえ、ここからがまた難しいんですが。。コロナ禍に猫と子供を連れて帰るってのは本当に難しいことだな、、、と。

 

その他参考にさせていただいたブログ。

ameblo.jp