最近立て続けに見た40代後半からのキャリア論、自分でも思うところがあるので書き殴ってみました。
自分が実際になってみて分かったけど(49歳)、50歳以降の先が見えたいわゆる「シニア層」を処遇するのは、雇用者側としては本当に難しいんだ。故に業績好調でも希望退職募集を繰返す企業の動機が分かってきた。「頑張ったところで何をくれますか?」と「何もあげられないけど頑張って」のせめぎ合い。
— intolerance (@Royal_Wedding) 2022年2月5日
40代後半からのキャリアに関するツイートは身につまされる。50歳までは何とかなると思うが体力落ちるその先はどうなるやらという心持ち。30後半〜40前半だと逃げ切りは難しいので、①上がり役職等まで突き抜け目指す、②特殊技能か属人化で代替不能人材化、③生活費省エネ化して持久戦、辺りが現実的か
— マーシャル (@jp_cpa009) 2022年2月6日
私はまだ30代最終盤ですが、40代後半とか50代まであと10年くらいしか無いのでまー、他人事ではありません。どうして最近そのように思ったのかをあれこれ思索していました。
■考えるきっかけ
現在、社内での施策向けにいろいろな勉強を進めてる中で、デジタルマーケティングを学ぶ機会が訪れてしまいました。流石にゴリゴリの営業である私自身がデジタルマーケティングを推進する立場ではないのですが。
何せこれまでは大規模顧客に対して多数の利害関係者を相手に1-2年掛かる材料提案を繰り返してきたコテコテのセールスである私なので、正直、最近流行りのデジタルマーケティングには懐疑的ではありました。
「営業は世の中から決して無くなることは無いぞ」、と思っていました。
今もその気持ちは変わりません。
ですが、営業は無くなることはないにせよ、確実に活躍の場は減っていくのではないか、とは思わされています。
それはなぜか??
これまでの営業の醍醐味とはターゲッティングやらマーケティングから売り込み、ツールの改良までなんでもござれでやって来れたことでした。
正解はありませんでしたが、良い客を見つけて実績を積めば認められてきました。
■周辺環境の変化
一方で確かに、年単位で時間が経てば経つほど、スマホやビジネスSNSでネットで調べ物するデジタルネイティブ世代が増えていっています。
実名ではないにせよ、積極的に発信する世代も出てきています。
おっさんが多い製造業の世界でも時間は経ってるわけですから、段々と客の年齢層も移り変わっていきます。自分も歳をとっていきますが、相手も歳をとっていくわけです。
日本のYouTubeチャンネルでモノづくり系のYouTuberが出てくるくらいには世の中は着実に変わっていっています。まだそこまでコンテンツとしてデカくないですが、それでも世界に目を向ければもっと大きいアカウントも出てきています。(英語だから裾野が広いんでしょうかね)
で、そうしたところでカジュアルに調べ物をして問合せしてくる客が確実に増えていくわけです。圧倒的にリーチしやすいわけですし。ネットのコンテンツも一昔前に比べれば確実に増えましたよね。
10数年くらい昔はWikipediaから情報を引っ張っていましたが、今はBtoBのメーカーのウェブサイトやらまとめサイトやらも増えて解説記事もすごく詳しくなってきています。よって、昔なら「専門性の高い営業が担っていた材料や部品の布教活動」は殆どがネットの記事やコンテンツに代替される時代が訪れる可能性が出てきています。
■コロナがデジタル化を加速
2020年以降、コロナ禍で対面が減り、2022年4月には日本ではcookie規制も始まるため、よりリード獲得手段としてデジタルマーケティングの重要性は増してきています。コロナのせいで材料部品営業の皆々様もこの2年はウェブ打合せばかりだったことでしょう。だーれも来ないデジタル展示会に退屈したりした人も少なくないことでしょう。(ちなみに大成功だったって人います?)
今後も対面はどこかでは一定は戻ると思いますが、ほとんどのお客様たちはzoom面談という便利な手段を覚えてしまいましたね。
お客様にとっては、来客対応は結構面倒です。
来客通知を出したりしなければならなかったりもしますし、お作法として正門まで迎えに行ったりしなきゃいけなかったり、お茶くみないしは手配やお願いしたりもしなければならなかったりもします。
この延々と昭和から続く伝統的ないつまでも続くと思われたルーチンがコロナによって、サクッとZoomに置き換えられてしまいました。ZoomのInvitationを送ったりする手間はあるけど、物理的な移動や応対からお客さんは解放されたわけです。
これはデカい。
たぶん、コロナが無ければ私はこんなことを考えたりすることは無かったとは思います。
コロナが無ければあと10年は掛かっただろうことがここ1-2年で起きてます。それは別に、遠いどこかではなくて、あなたの職場や競合の職場でもたぶん、かすかにないしはダイナミックに今まさに起きていることなんだと思うのです。
通常この手のデジタルツールを苦手なおじさんたちが職場では主流なので、普及が遅いわけです。進歩も遅いわけです。でも、Zoomが一気に世界を変えて、MSもそれにキャッチアップするべく、驚異的なスピードでMSのTeamsの進化も進んでいます。サティア・ナデラ率いるMSはちょっと以前だと考えられないスピードで私たちの業務環境を変えていっているのです。
この流れは過去の進化速度とは完全に別モノです。だって、それ(Zoomなどのデジタルツール)しか手段がないから、こっちもお客もみんなデジタルツールに慣れなきゃしょうがない。
文字にしづらい非定型の情報を対面で取ることに血道をあげてきた営業はSMSやLINEやzoom、電話でしか情報が取れなくなってしまいました。働き方を改革せざるを得なかったのは客側も売り込み側も両方だったのではないでしょうか。
動きの早い企業は「営業が対面で営業しなくてもそれなりに売上があがってる」ことに気がついたところもあるのではないでしょうか。
「いろんなところに無軌道にお出かけして出張旅費を使い倒し、効果測定が難しいアナログで、お仕事やってる感を出してくる営業」を置いておくよりも、マーケティングやデジタル施策を推進する方が効果が高い、というか、数字で全部出てくるからうまく設計してさえいれば効果測定がしやすいことに薄々気が付き始めてるとでも言いましょうか。たとえば、展示会に出るよりもWebのターゲット広告なのでは?みたいな。
お客さんと売り込み側が同時にアップデートを図る必要に迫られたせいで、一気にアナログの介在するファジーな領域が減ったと言ってもよいのでしょう。
これまで営業は
「あのお客さんは対面の方が情報が取りやすい」とか
「あの人に私は気に入られていて本心を対面では話してくれるから」とか
「あの人とは信頼関係が構築できているけど、あの人は用心深いから対面で直接話を聞かないといろいろ教えてもらえないんだ」
という、担当している営業以外は極めて否定しづらいアナログでウェットなロジックを社内で懇々と説明して、鬱屈したオフィスから飛び出してお客様のもとに営業にせっせと出かけていたわけです。
こうした変化に気が付いて動いてる企業の中には営業マンを一定数、マーケティングに移す会社も出てきてることでしょう。
(今回調べてて知らなかったこととしてはマーケティングという独立した部署を持ってる日本企業はかなり少ないということでした。先日紹介した本でも11%という数字が出ていました。多少、ポジショントークの面はあるでしょうけども。)
で、何かしなければ、と思って動いてても一気通貫に施策を組織から考えられる企業というのはそんなに多くないという話を知り、マーケティングや営業のプロセス自体、業種、業界によっても大きく異なることに思い至っています。
■営業は変化に適応できるか
で、こういう調べ物をやってて、そもそも調べ物をしたり共有することすらない営業マンの方が世の中には大多数であることにも気がつかされるわけです。
売り上げを上げてればそれでオッケー!という個人商店的な人たちが世の大半を占めてるわけです。なので、こういう営業マンが生きていける企業では一定、営業マンは生き残るのでしょう。
一方でプロセス改革をトップ層が考えられる企業では段々、営業マンの秘伝のソースのタレはデジタルコンテンツ化(リード獲得のためのプレミアムコンテンツ)していくと思うんですね。
何か買う時に営業マンにあれこれ探られるよりも、リード情報を入力する方が気が楽だし早い、というエンジニアはかなり多いのではないかなと。
勿論、これがうまくいくには、デジタルコンテンツがわかりやすくキャッチ―である必要はありますが。(ここではコンテンツ制作の妙技が求められるということになります)
先述しましたが、ウェブサイトのアクセス分析は難しくなっていきます。cookie情報は2022の4月からの改正個人情報保護法施行されてしまうと、更に取りづらくなります。そうすると、基本的には、今後の施策はメルマガ配信のオプトインとその後のcookieの行動分析、ウェブサイトのコンテンツ充実、秘伝のタレのメルマガコンテンツ化となります。(理想はデジタルとアナログ接点の完全な融合なんですけどね)
営業マンが介在する余地を減らして営業マンは大手顧客サポートや立上げに専念していき、マーケティング施策でリード獲得して営業に渡すという流れがSaaS以外でも広がってくる可能性はあるのではないでしょうか。
で、学びながら思うのが、学ぶことをしないまま、歳を重ねた場合のリスクです。
私は強制的に新しいことを勉強する機会を与えられています。
正直、客前に出なくなったので市場知識やらは少し錆び付いてる気がしないでもないですが。。。新しいことを貪欲に取り入れたり考えたりしながらコンセプトやプロセスを作る側に回るのか、それともずーっと兵隊をやるのか、という話でもあるのでしょう。
時間が経つと相手もこっちも歳をとる、というのは当たり前の話なのですが、意外と見落としがちなことでもあります。時代が変わり、ツールが変わり、調べ方やら接し方が変われば、営業する相手もやり方も変えないといけません。40代超えてからこれをまたやり直すというのは結構大変。50代なら尚更でしょう。
歳をとれば経験値が貯まりますが、残念ながら過去に積んだ経験値が活かせない時代が到来してるとも言えます。アナログな営業職種ではその変化のスピードは早くないと思っていましたが、別にそんなことは無かったですね。
全体に占める中で生き残る営業の数は確実に減っていきます。
スマホやアプリやパソコンやらで出来ることは10年で格段に増えていますし、この流れはたぶん止まらないでしょう。
つまり、どう生きるにしたって、こうした流れへのキャッチアップは不可避ということなんでしょう。