グラン・トリノ
DVDで鑑賞。
(あらすじ)
フォードの自動車工を50年勤めあげたポーランド系米国人、コワルスキーは、愛車グラン・トリノのみを誇りに、日本車が台頭し東洋人の町となったデトロイトで隠居暮らしを続けていた。頑固さゆえに息子たちにも嫌われ、限られた友人と悪態をつき合うだけの彼は、亡妻の頼った神父をも近づけようとしない。コワルスキーを意固地にしたのは朝鮮戦争での己の罪の記憶であり、今ではさらに病が彼の体を蝕んでいた。
その彼の家に、ギャングにそそのかされた隣家のモン族の少年タオが愛車を狙って忍び込むが、コワルスキーの構えた銃の前に逃げ去る。その後なりゆきで、タオやその姉スーを不良達から救ったコワルスキーは、その礼にホームパーティーに招いて歓待してくれた彼ら家族の温かさに感じ入り、タオに一人前の男として仕事を世話してやる。だが、これを快く思わないモン族のギャングが…
(以上Wikipediaより)
クリント・イーストウッド監督、主演作品。エンディングでは歌まで歌ってるという、イーストウッド尽くしの映画。映画館で見事にスルーしてしまい、DVDで観る事になってしまいました。映画館で観るべき映画でしたね。2009年鑑賞作品では自分の中ではベスト1の映画でした。
各所で語り尽くされてる事ではありますが、この映画はイーストウッドが好きな人なら必ずと言っていいほど随所にイーストウッドの小ネタが差し挟まれており、楽しめる映画でありながら、全くイーストウッドを知らなくても人間ドラマとして見事なまでに楽しめる素晴らしい作品になっています。イーストウッド作品をたくさん観て来たファンであればあるほど、この作品でイーストウッドが演じる役柄の意外性であるとか、テーマには泣けるのではないでしょうか。それにしても家二軒で殆ど展開されるため、このお話って殆ど製作費はビッグバジェットムービーと比べても安いものになっていて、それでこんなに内容の濃い映画が撮れるのだから映画って金も大事だけど金じゃないんだなあ、と思わされるわけですよ。要は撮りたい理由、描きたい世界、テーマを作り手が持っているかがとても大事であって、そういうものがなければアタマカラッポの中身スカスカムービーになってしまうよ、という事ですね。
この映画に出て来るモン族の少年タオとの心の交流を通じて、コワルスキーの罪の意識もまた、変わっていくのですが、まあ、本当に彼の最後に選ぶ選択が涙無くしては観られないわけです。
コワルスキーはフォードで勤めて来た誇りがあり、その誇りが結実しているのが、彼の乗るグラン・トリノなわけです。コワルスキー自身が古き良きアメリカの象徴として描かれており、東洋人に対する負の感情は殊更、戦争での罪の意識も相まって根強いものになっています。彼が最後に選んだ選択が、色んな意味で意味深いものになっていてそこがこの映画の鑑賞後の思案のしどころと言ったところでしょうか。
GMの破綻やトヨタの台頭のニュースが駆け巡った2009年だからこそ、意義深い映画だったとも言えるでしょう。その後のトヨタのリコール問題とその顛末を考えると、イーストウッドが考えてるほどアメリカの魂というのは美しいと手放しに言えるものでも無かったのかな、とも言えますがね。
それにしても、後何作品くらい、イーストウッド作品を観る事が出来るんでしょうか。インビクタスのような名作の事も考えるとこれからもどうか出来るだけ彼の作品は映画館で観ていきたいなあ、と思わされる次第です。