大河ドラマ 青天を衝け 3話の感想

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大河ドラマ、青天を衝け、3話にしてなかなか秀逸な回でした。


ここまで渋沢の実家の稼業である養蚕と藍染めをしっかり描いてきたのは3話の終盤の栄一による買い付け描写のためだったというのがわかる展開でしたね。

 

序盤にしっかりと藍玉の製造工程まで描いている。大道具や芸が細かい。

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藍玉(あいだま)とは、藍の葉を発酵・熟成させた染料である蒅(すくも)を突き固めて固形化したもの。玉藍とも。

藍の葉を収穫して乾燥させた後、蔵の中で寝かせ、これに水を打って良く湿らせながら上下に撹拌し、約75 - 90日間発酵させたものを再び乾燥させると、無色の物質であるインディカンが酸化されて青色のインディゴへと変化して、その色が濃くなることで黒色の土塊状の物質が出来る。

これを蒅(すくも)と呼ぶ。

蒅の状態でも染料としては十分使用可能であったが、運搬に不向きであったために後にこれを臼で突き固めて乾燥させて扁円形の小さな塊にすることによって運搬を容易にした。

これが藍玉である。

江戸時代以後、全国各地で流通に便利な藍玉の生産が盛んになったが、特に阿波藩のものは良質として知られ、全国でも屈指の産地として全国的に市場を有した。

しかし、明治以後にはインド産の流入や化学染料によって人工的に藍色が出せるようになったこと、更に輸送手段の発達によって蒅の状態での輸送が可能になったことにより、藍玉そのものの生産は衰退していくことになった。

 

3話は出だしから江戸で藍の販売に連れて行き本場の品質を見る目をつけさせた。
また1話-2話でも描かれていたが小さい頃から藍の葉の栽培から収穫、更には買い付けにも息子を同行させて見る目を養わせて、交渉の様子も父は栄一に見せてきたわけですね。言わば英才教育。阿波に負けない品質を父がアピールしていました。

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江戸時代、染料になる藍は重要な作物でした。藍の産地としては徳島県吉野川流域(阿波)が最も盛んでしたが、深谷市北部の利根川沿いの村々でも藍をたくさん栽培していました。利根川沿いの地域は、藍の生育に適した肥えた土地です。しかも、良い藍を育てる肥料として必要な〆粕や干鰯が、中瀬河岸を利用することで手に入れることができました。
 渋沢栄一が生まれた「中の家」でも藍を栽培し、染料となる藍玉を製造していました。さらに、藍を栽培している農家から藍を買い付け、作った藍玉を紺屋に販売していたのです。

 

 ただ、もちろん傍観してるだけだとちっとも品質を見る目は養われないけど、栄一はそういう世の中の普通の子供とはかなり違っていてしっかりと学んで理解して自分からやってみたいと思うようになっていたと。

 そして藍の葉が虫食いで全滅して困ってるところに父と手分けして買い付けに行きたいと申し出るも父には却下され、しかし、母が行かせてみる、という展開。

 

※タデアイはアブラムシに弱いそうです。

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母は栄一の商才に気がついていたわけではなかったのだろうが、勉強熱心な栄一ならもしかして、と思ったのだろうか。この辺りは親の勘だろうか。

で、しっかりと父親の代役という大役を果たして藍の葉の買い付けに成功。

白眉はやはりただ買い付けるだけではなく、少し質が悪いものをやや高めに買って来年のためにしっかり肥料をやって来年もまた売って欲しいという長期投資/関係性構築を果たしたところだろうか。

栄一の実家は藍の葉を育てつつも自分たちで藍染めも手掛けているので、完成品に求められる藍の葉の品質もまた理解している。
一方で買い付けられる側の農家はどうやら藍染めの知識はそこまでは無く、そこに情報の格差がある。
つまり栄一の実家は買い付け側として抜かりが無い。

 

栄一が買い付けてきた藍を見て値打ちをきちんと判断して高すぎる買い物であると断じつつも、来年、これで農家が良い肥料を買ってくれればそれで良いだろう、と栄一と同じコメントをする。

つまり、栄一の商才というか価値観はすでに父に追いついているということを描いている。

一方、今後は栄一はそのまま商いに突っ走るわけではなく、父とは違う道として、尊王攘夷からの幕臣へと舵を切っていくわけでその流れをどのように描き出すのか?は今後も目が離せないだろう。
父と子の関係での慶喜との対比も面白かった。