1/26更新:日経記事:旭化成の工場火災、影響拡大

更新:12/18 オンキヨーがPress releaseを出したので対応に追記

更新:1/26 日経記事追加

 

 公開情報で情報収集を開始します。

 

www.nikkei.com

 

www.nikkei.com

 (12/07追記)

www.nikkei.com

 

12/18更新:踏んだり蹴ったりですが、旭化成の延岡にあるグループ会社でコロナ感染者発生の報も出ています。

mrt.jp

 

 旭化成半導体事業:同社半導体事業は、スマホと車載オーディオ向けを中心に展開。スマホ向けでは電子コンパス、カメラモジュールのオートフォーカスや手ぶれ補正用磁気センサーが代表製品だ。 車載オーディオ向けでは高精度A/D・D/Aコンバーターハンズフリー向けの音声処理DSP内蔵LSI、高音質を実現するノイズキャンセラーなど、高級オーディオ向けを得意とする。

 

 

火災発生:⽕災は10⽉20⽇に旭化成のグループ会社、旭化成マイクロシステムの延岡製造所(宮崎県延岡市)で発⽣。原因は調査中で被害の全容は把握できていない。復旧のメドは⾒通せず「数カ⽉での⽴ち上げは難しい」(旭化成の柴⽥豊副社⻑)。⼯場内の在庫は、多い製品でも半年程度のようだ。(11/27 日経記事より抜粋)

 発生場所 : 生産センター 第二製造部 (兼:旭化成マイクロシステム株式会社 延岡事業所)

        宮崎県延岡市中川原町 5 - 4960

発生日時 : 10月20日 (火) 16:45

鎮火日時 : 10月24日 (土) 12:25 ※ 延岡市消防本部による鎮火宣言

火災原因 : 現時点では不明

 

被害状況

・従業員の人的被害は無し。

・物的損害および業績等への影響については、現時点では判明せず。

工場自体も今回の火災でクリーンルーム上部の屋根が崩落するなど、壊滅的なダメージを受けている。

 

 

その他

生産センター 第二製造部 の主な製造製品は、アナログ・デジタル混載 LSI

弊社の他の工場 (下記) には、今回の火災の影響は無し

※ 生産センター 第一製造部 (兼:旭化成電子株式会社 延岡事業所)

※ 生産センター 第三製造部 (兼:旭化成電子株式会社 富士事業所)

 

影響が出る部品:主にオーディオ機器向け⼤規模集積回路LSI⽔晶発振器⽤のIC旭化成は同ICの世界シェアの7~8割を握るとされる)を⽣産。

旭化成のICは代替生産が難しい。特にホールICやTCXO用制御ICは業界シェアも高い。

 

生産能力:火事が発生した工場は旭化成半導体事業において、前工程拠点としての役割を持つ。6インチおよび8インチウエハーで構成されており、月産能力はそれぞれ1.2万枚程度を保有するとみられる。シリコンベースのIC製品などを生産。旭化成半導体事業は前工程プロセスで、自社ファブと外部ファンドリーを使い分けている。

微細プロセスに関しては外部ファンドリーを活用する。

ホールICカーディオ用IC水晶デバイスのTCXO(温度補償型水晶発振器)用制御ICなどは、自社で製造を続けていた

 

その後の対応

11月:被害に遭わずに残っていた製品を11月20日から順次出荷しているが、「1~3カ月分しか在庫がない」(旭化成広報)。(朝日新聞記事より)

11月下旬より工場内倉庫に保管しておりました製品在庫の出荷を始めている(12/25 プレスリリース)

12月:火災発生後より顧客と協議のうえ、他社製品への切り替えを依頼。他社に対してAKMの顧客からの問い合わせなどへの対応を依頼中。さらに、切り替えが難しい顧客向けとして、代替生産準備中。現在、一部製品について、複数の半導体製造会社の協力のもと、関係者の協力を仰ぎつつ、代替生産の準備中。(12/25 プレスリリース)

1月:代替生産先はルネサスエレクトロニクス主力の那珂工場(茨城県ひたちなか市)で代替生産する。製品の歩留まりの高い8インチサイズのシリコンウエハーを用いる製造ラインを活用する。那珂工場は別の自動車用半導体などを生産しているが、未稼働分の能力を割り当てた。生産するのは電波の波長を調整するのに使う水晶発振器と呼ばれる部品向けのIC(集積回路)春ごろまでにルネサスから代替品の供給が始まる可能性があ(1/27 日経記事)

 

部品の主なアプリケーション

LSI⾳響機器のほか、スマートフォンなどにも使⽤されている。

・また⽔晶発振器を制御するICは「⽤途によっては世界シェアが7割程度あった」(業界関係者)。電波の波⻑などを調整するために使われ、全地球測位システムGPS)を搭載するカーナビ⾞載⽤部品にも使⽤されているという。

水晶部品は規則正しい振動で電子機器を正常に動かす精密部材。水晶片の電極に電気を流すと震え出す。これを電気信号化する。多くの機器に不可欠なことから「産業の塩」とも呼ばれる。

電子情報技術産業協会JEITA)がまとめた1~9月の水晶振動子の生産数は24億6240万個。前年同期比22%ほど増えた。中国・華為技術(ファーウェイ)に対する米国の制裁強化を前に駆け込み特需もあったが「5Gスマホ需要も増えた」。

水晶振動子など水晶部品の4~9月のスマホ向け平均大口価格は1個15円前後。前年同期比約15%高い。「日本勢が得意な5G向けの小型品はさらに高い」(電子部品商社)という。小型化を加速させたのが「5G」スマホの本格普及だ。従来のスマホに比べて高機能化し、搭載する部品も増えた。スマホ1台あたりのスペースが限られ、部品は小型化が求められている。5Gスマホ向け水晶部品は1.2ミリメートル×1.0ミリサイズの世界最小クラス。これで4G向けの2.0ミリ×1.6ミリサイズなどと同等機能だ。

 

 

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水晶振動子の代替先 :セイコーNPC

水晶発振器用のICとしてはセイコーNPCが自社サイトに「世界シェア屈指を誇る」ともあり、AKMとシェアを分け合っているのではと推測します。

www.npc.co.jp

 

 

影響が出ている会社

 

ヤマハ27⽇、2021年1〜3⽉期の売上⾼で60億円の押し下げ要因になると発表。ヤマハは同⼯場で⽣産している「ADコンバーター」「DAコンバーター」と呼ぶアナログとデジタルの信号を変換する部品を多くの電⼦楽器や⾳響機器に採⽤していた。

 

フォルシアクラリオン

イオニア

アルプスアルパイン

フォルシアクラリオン・エレクトロニクスとパイオニアは、AKMのDACチップを採用している製品の生産に影響がすでに出ている。アルプスアルパインも、生産のリードタイムが伸長している。JVCケンウッドは、足元では在庫が確保できており2021年3月期の業績への影響も軽微とするものの、この状況が続けば「4月以降に在庫が足りなくなる可能性もある」と危機感を持つ。(1/14付け 日刊自動車新聞より)

 

JVCケンウッド:無線機に使われる半導体の多くを同⼯場から調達しており、⽣産に⽀障が出ている。具体的には特定小電力トランシーバー、アマチュア無線機、業務用無線機ほぼ全機種の製品供給に影響が発生する見込み。アクセサリー類の供給は問題無し。(11/25付けの国内無線システム営業部発表リリースによる)

 www.hamlife.jp

オンキヨー:12/18更新:2021年3月より代替品調達の目処が立ち、設計変更の上、生産再開の見通し。(12/17プレスリリースより)

prtimes.jp


パナソニック:デジタルビデオカメラの⼀部製品で⽣産に遅れが出ており「現在、⽣産体制の強化を図っている」(同社)。

 

電⼦⾳響機器のズーム:21年以降は計画⽐で3割減産する⾒通しだ。

 

ナカヨ固定電話などを製造するナカヨは工場の火災により生産や販売に影響が出る可能性があると公表している。

 

サクサHDサクサHDはオフィス向けの固定電話や警備用の通報システムで旭化成半導体を使用していた。2020年内は在庫で対応できる見通し。代替品の調達などを検討している。

www.nikkei.com

 

アイコム大きな影響には至らないと見込まれるものの、一部の製品供給に支障が生じる可能性は否めず、現在、支障を回避すべく、在庫確保、代替部品選定、製品設計変更等代替策を早急に進めている(12/25付けプレスリリースより)

 

⾃動⾞業界でも「ほぼ全てのメーカーで使っているのではないか」(業界関係者)とみられる。少なくとも3社の生産が来年1月以降、4~5割程度減るとの予測(12/30記事)今回、減産に影響するのは、横滑り防止装置やハンドル操作を助ける電動パワーステアリングに使われる半導体。横滑り防止装置は、多くのクルマに採用され始めている。

news.livedoor.com


トヨタ⾃動⾞:「対象部品は公表していない」(広報部)としたが、⼀部⾞種で採⽤していることは認めた。⽣産への影響については「調査中で、情報を精査している」。
関係者によると、21年1⽉ごろまでの在庫はあると旭化成側から報告を受けているという。

トヨタ自動車デンソージェイテクトなどグループ部品会社を通じて被害にあったラインで生産していた半導体を使っていた。火災前にデンソーなどは一定程度の在庫を持っていたほか、旭化成も安全在庫と呼ぶ不測の事態に備えて多めの在庫を保有していた。トヨタは当面生産を継続できる体制だった。ルネサスによる代替生産にメドが立ち、トヨタの火災影響は限定的になりそうだ。トヨタ自動車新型コロナウイルス半導体不足といった逆風をしのぎ、2020年度の世界生産計画を維持する。

 SUBARU国内外の自動車大手も減産を強いられ、SUBARU(スバル)は2月も減産を続ける。

デンソー:主にデンソー製の⾃動⾞部品で採⽤しているとみられる。

 

日本電波工業水晶部品で「他社製ICの試作品評価を進め、製品確保を急いでいる」。日本の水晶部品メーカーは高い技術力が評価され、世界シェアの5割弱を握る。ここ数年、水晶部品は値下がりが続いていた。台湾や中国勢が低価格品で攻勢をかけ「採算が取れない水準まで下落した」

 

対策旭化成の他の⼯場では代替が難しいという。このため、他社製の代替製品を取引先に紹介するほか、委託先への増産要請を進める。新規での⽣産委託についても、複数の国内外メーカーと調整している。
それでも、旭化成が⼿掛けていた半導体には汎⽤的な製品が少なく、代替⽣産には⼀定の時間が必要だ。旭化成は「製品によっては安定供給のメドは⽴っておらず、他社品などの調整を急ぐ」としている。

 

参考記事



news.yahoo.co.jp

 

www.akm.com

 


2012年頃には旭化成はアップルのサプライヤーリストにも名前を連ねていました。

www.morningstar.co.jp

blog.livedoor.jp

その後の記事では旭化成の名前はリストから消えています。

xtech.nikkei.com

 

news.yahoo.co.jp