2020/02/12_Silicon Valley Innovation Forum 2月特別講演 シリコンバレー(SV)を活用する日本企業の新たな動き:過去5年間の総括と今後の展望 (櫛田健児氏) 

講演を聞いてきたメモを公開しておきます。

 

<櫛田氏について>

スタンフォード大学リサーチフェロー。アメリカ生まれだが日本人。 

スタンフォード大学アジア太平洋研究所日本プログラム研究員、Stanford Silicon Valley – New Japan Project (SV-NJ)プロジェクトリーダー、バークレー国際経済研究所リサーチアフィリエイト、キャノングローバル戦略研究所インターナショナルリサーチフェロー。NIRA総合研究開発機構客員研究員。1978年生まれ、日本育ち。 スタンフォード大学卒、経済学、東アジア研究専攻。カリフォルニア大学バークレー博士号修了。スタンフォード大学アジア太平洋研究所でポスドク修了後、2011年から現職。

主な研究と活動のテーマは:1)シリコンバレーのエコシステムとイノベーション、2)情報通信(IT) イノベーション 3)日本の政治経済システムの変貌  4)福島原発事故の政治経済 、などで、学術論文を多数出版。

そのほか、日本語での一般向けやビジネス著書:『シリコンバレー発 アルゴリズム革命の衝撃:IoT, Fintech, Cloud, AI の本質』(朝日新聞出版2016年)、『バイカルチャーと日本人』(中公新書ラクレ2006年、アマゾンキンドル電子書籍2015年(奥万喜子共著) )、『インターナショナルスクール入門』(扶桑社2008年、アマゾンキンドル電子書籍2013年)。

日米のメディアではニューヨークタイムズワシントンポスト日本経済新聞、日経ビジンネスなどにインタビューなどが掲載され、NHK, PBS NewsHour, NPR などに出演。

 

<今回の講演の趣旨>

・日本はどう変わってきたか伝えたい

・コミュニケーションが取れないのはなぜか?バイリンガルではなくバイカルチャーが必要?そういう本も書いた

・どうすれば対応力を高められるか?

・産学連携系の学者

・AIはどのような各国の政治経済の力学で進展と浸透のパターンが変わるのか?

・国や政治体制によって活用の仕方が変わる。

 

・日本企業によるSV(シリコンバレー)活用がここ5年で大きく変化してきた。SVはこれまでも注目されてきたが、過去はバブルがはじけたり経済情勢が悪くなると進出の波が引いたりしてきて、継続的にSVが活用できていなかった。ここ5年ほどは日本企業でも大手企業を中心にSVの活用が進んでいるが、この波が頂点かどうかはわからない。ドットコムバブル前後の15-20年前に比べれば新しいことをやっている日本企業は増えている。

 

・今はまさに日本の中核的産業がことごとくDisruptされそうなタイミング。AIがいろんな製品やサービスに搭載され活用されるとまさに垣根なく様々な産業に影響が出そうだとみている。日本企業や日本で働く人々はSVをもっと具体的に知る必要がある。

 

・日本の産業は主に実際のデータを持っていることが多い。そうした実際の実業で得たデータをどうAIなどで活用するか?というフェーズに今は差し掛かっているのでシリコンバレーの発展と日本の産業との協業にちょうどよいタイミングである。

 

・600人150社くらいが毎年、櫛田氏がオーガナイザーをやっている11月のスタンフォードのイベントに来る。これまでの日本企業のSVでの振舞いが好ましくなかったために、こうした日本企業主体のイベントにアメリカのスタートアップが来てくれるか心配だったが、3年間を通じて、2019年には100社くらい来てくれるようになってきた。こうしたSVのスタートアップがなぜ日本企業に興味を持ってくれているかと言えば、日本企業と組むことでUSのみならず日本や世界へ自社のサービスや商品を展開できる可能性があるから。また、投資家にもそうした世界展開の戦略を説明しやすいという要素もあるだろう。

 

・ただ、日本企業はSV活用において、ワーストプラクティスにはまる企業が多い。ワーストプラクティスに関しては記事を3つほど書いたが非常にウケた。ただ、すべてをつぶさに紹介していると気が滅入るので今日は少し触れるだけにする。

 

https://techblitz.com/kushida2/

 

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https://techblitz.com/stanford-worst-practices-second/

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https://techblitz.com/cvcworstpractice-kenjikushida/

 

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■日本企業のSV活用の仕組み

  • 駐在所設立
  • VCへのLP投資
  • CVCの設立→最近増えている
  • 大学との提携
  • スタートアップとの協業、買収
  • 研修プログラム→最近結構ホット。社内の仕組み上、人事部が研修予算を持っている。SV活用に回ってくれてよいコンテンツを供給できれば吉?

 

・日本企業は「その業種に関係なく」、SVに進出しようとしている。様々な国の企業がSVに来ているが、ここまでいろんな業種の会社が来る国は珍しい。言ってしまえば、日本くらいだろう。これが日本にとって強みではあるけど。。。(BACEIレポート参照。歴史的背景などなど)

 

JETROがいつも出している日本企業のSV進出企業数に関するレポートの役割と限界が出てきているのではと考える。ある意味では、JETROは右肩上がりであることを煽っている。役割的には正しいのだが。調査の実態としては正確な進出企業数を把握しきれない。ただ、実際に進出してきている日本企業が何社あるかはRight Questionではない。実際に(櫛田氏の)肌感覚としても本気でSVとコラボしたい会社は増えている。逆に中国企業はここ2年くらいで急速に撤退。新しい投資案件が無い。(トランプ効果を示唆していた)。SVの技術を中国に持って帰る系が増えている。インドは企業ではなく個人がSV企業の中枢へ。(ex. MS社長やGoogle社長)SVに進出するインド系大企業が増えているわけではない。シリコンバレーと組んだことが、企業としてコアの価値になっている会社は日本にはない。また、実際にはSV以外にあるアメリカ企業もSVの企業・産業からDisruptされる存在。。。たとえば、NokiaはSVにも拠点を持っており、当然スマホの存在は分かっていたが、MSと共にWindows Phoneで取り組んで結論から言えば、ダメになった。実際、現時点で中核拠点をSVに置くことで価値を出しているのはドイツのSAPくらいだろう。EUが出来た背景は経済圏として日本市場に勝つためだった。価値創造のためにSVにここまで来ている会社は日本企業群くらい。。。

 

・デジカメ、MP3プレーヤー、ポータブルナビ、ビデオカメラ、これらのセグメントは日本企業が得意なセグメントだったが、スマホタブレットに完全につぶされた。そこには日本企業の存在感は無い。動画しか撮れないカムコーダー、音楽しか聴けないポータブルプレイヤー、写真しか撮れないカメラ、は今の学生には価値が無い。。。「それだけしかできないの?」と言われる。ただ、スマホタブレットは「たまたま」これらの価値をDisruptしてしまった。狙ってそれをやったわけではない。そこが怖いところでもある。

 

・ここで取り上げたいのがTeslaである。

株価が一気に上がっており、市場価値、企業価値がここまで高まっているのはなぜか?日本に住む日本の人たちはどうも世論で聞いたことを真に受けて「テスラは安全性がいまいち・・・」とか思いこんでしまっている。。。

実際にはテスラが擁する技術は驚異の発明や技術と言える。例えば、(ソフトウェアの)ダウンロードでマシンパフォーマンスや燃費が良くなったり、オートパイロット性能向上だったり。これらは「最終製品出荷段階から更に品質を向上させる」という新しい売り方や価値の創造。今までは販売した段階で自動車の製品をそれ以上消費者が向上させることはできなかった。また、フロリダのハリケーン時などにも効果を発揮して話題を呼んだが、緊急時に遠隔でバッテリーの機能制限を遠隔で解除したりもできる。ほかにも、Dog modeという車に残してきた犬のために窓の開け閉めができるような機能が追加されたりもしている。買い物中、車に残してきたペットのために、窓の開け閉めを車内の温度を測定しながらできたりもする。BVWやAudiを買えるようなお金のある富裕層の人たちがもしも、ペットが好きであれば、迷わずテスラを買うような機能だろう。また、バッテリーが長持ちするようになったり、テスラのスーパーチャージャーと呼ばれる充電網も全米に大きく広がっている。この充電スタンドもまた、ユーザーエクスペリエンス(UX)を想定して充電網を整備している。本当にお客さんの立場に立って、ユーザーインターフェース(UI)を作り上げている。

 逆の事例で言えば、(今日は富士通さんが来ているかわかりませんが。。)富士通が日本国内で販売していた携帯電話・スマホらくらくホンとかあったが、ボタンや文字が大きくて高齢者のユーザーに寄り添っていると言われていた。しかし、寄り添っているように見えて、操作方法がわかりづらい時に参照しなければいけない説明書は400ページもあって文字がすごく小さかった。これでは操作方法が高齢者だけではわからない。富士通社内の実際の話はわからないが、たとえば、富士通の社内規定で取扱説明書は高齢者向けではなかったとかそんな話なのかもしれず、本当の意味で使う人のことを考えたユーザー目線できちんと考えられていたとは言えなかったと思われる。

 

・テスラはソーラーパネルも各家庭に設置費・撤去費・見積無料で置かせたりしている。さらに屋根と一体化したソーラールーフという製品も出てきた。ソーラールーフの見積は航空写真で撮影したりドローンで撮影したりして、簡便で、ユーザー目線で本当にしっかりやってくれる。こうしたアプローチは技術的には日本の製造業でもできないわけがないのだが、先ほど述べたような色んな妥協の末に実行されていない。シリコンバレーではモデル3はナンバー3。全米で8位。電池がもたないと心配されている寒冷地のノルウェーでも一番売れている自動車。。世界でもモデル3がよく売れ始めた。。。!

 

*1

 

 

■Disruptionは過小評価しやすい。

これまでにも様々な企業の経営者が数々の技術トレンドを過小評価してきた。

・「個人が自宅にコンピュータを持つ理由はない」(ケン・オルセン

・「「Googleは本当の会社じゃない。ハッタリだ。」

iPhoneについて 「500ドルなんで世界で最も高い電話だ。。。しかもキーボードがないからメールに向いてないしビジネスユーザーに不向きだ。。。大したシェアを取るのは不可能だ。全く不可能だ。」 

Microsoft CEO (Steve Balmer)

・「Netflixなんて我々の競争の眼中にない」Blockbuster CEO Jim Keyes 2008

 

どの発言も今となっては笑い話だが、自動車産業の200万人の雇用は本当に大丈夫?情報格差がすごい。日本ではあまりにもテスラが理解されていないので危機感を覚えている。

 

シリコンバレーの活用が急務。

シリコンバレーニュージャパンサミットからの学び。。11/16-17にもSilicon Valley New Japan Summitという会合を行う予定。シリコンバレーを部分的にコピペしても仕方がない。活用しよう。もちろん大きな格差などの負の側面もあるが、正の側面を活用しよう。

 

ここからは各社の活用事例を紹介する。 

 

コマツ

・たとえば、コマツは一番シリコンバレーを活用している。IoTの話はみんなが知っている。

・Skycatchと協業してドローンで3Dマップを作成。Skycatchは一気に日本展開できて、コマツは世界展開できた。CTO室がサクッとやってきてあっという間に社長会長にデモを見せて会ってから7か月で契約して実装した。

NVIDIAとも協業。Edgeboxで色々Updateできる。3次元Mapがあるので色々もっとできるようになる。地形分析とか土を動かす量とか機械投入量などもタブレットで見せられるようになる。

・工事現場のIoTプラットフォームLandLog。SAPなどとも協業。いろんな工事現場で使えるようになる。GEは情報を吸い取って売ろうとしていたが、コマツはそこは線引きしてプラットフォームだけ提供。

・機動力のあるCTO室が5年ほど前にできた。攻めの投資。コストマネジメントばかりではない。経営陣との太いパイプ。社長会長との強い信頼関係。出張ベースで世界に人脈を築く。海外支社を増やしていない。CGで具体的な将来ビジョン映像を作る。スマートコンストラクション動画館というものを作ったりする。Hapticsにも手を出したりして産業用Hapticsを活用したりする。コマツと組むのにスタートアップにとってもWin。360°スクリーンを作ったりしている。本当のビジョンを具体化するには何が必要か。顧客のPain Pointをきちんと理解できていますか?日本の品質の価格を見積に入れられない。なぜなら価値を測定できていないから。価値をきちんと測る必要がある。お客さんのコストセービングとか。巨大ダンプのタイヤのすり減りを測定するとか。ユーザー目線の未来ビジョン動画があるとよい。コマツはトップの経営陣がシリコンバレーへ来て、その取組みを実際に目で見て体験して本質論を議論する。International Advisory Board. 本質的な議論をしていると意思決定も行動が早い。

・強烈な危機意識がある。事業部へどう伝えるか。わくわく感、体感。見ないことにはわからない。体感しないとわからない。駐在員のレポートを見てもピンとこない。ほかの企業では駐在員が会社のお金でテスラモデル3をリースしてレポートを書いたりもするしそれは本当によくできているけど、それには限界がある。世界中を飛び回って得た情報のGiveあってこそ情報と時間のTakeができる。

 

■日立ソリューション

2006年にSVに来た。5つのLP投資+直接投資。事業投資の案件の見える化を実施。POC前から実業になるところまで追いかけ続ける。プロジェクトがどこまで進んでいてどこでストップしているかも見える化。本社に投げた案件数がKPIになっても本社側のKPIになっていなければ意味がない。役員レベルのKPIとして本社キャッチャー側に設定。言うと当たり前だが、出来ていないところは多い。

 

三菱商事

M Lab。役員がシリコンバレーに常駐。リーダーシップを発揮。様々な事業部のメンバーが集結して、お金も持ってきている。教育に力を入れている。若手から中堅。部長以下でSVで5日間のブートキャンプをして、スタンフォードのD-schoolでのプログラムをやっていたり、バークレーでデータサイエンスも勉強する。データサイエンスをする人たちをマネージするために。エグゼクティブエデュケーション。100名以上を対象に実施。20%の社員を変えれば会社が変わる?

 

IHI

2015年に1人駐在。4年間で3件も事業化。スタートアップに合わせたタイムラインを作り、交渉時に透明性を確保する。たらいまわしとか根回しとか状況をわかるようにする。シリコンバレー用に契約書類のフォーマットを見直し。事業領域ごとにキャッチャー役を何人も用意した。One to Oneではダメ。キャッチャーを増やさないと難しい。

 

■ホンダ

2011年にCVCを辞めてオープンイノベーションラボに変更。スタートアップにリソースを提供したり自動車プロトタイプやらエンジニアを与える。最初の顧客がGMでも構わないとして、支援。杉本氏は日本のホンダ本社で偉くなった。これも結構重要。法務をSVに連れてきて本みたいなNDAを要求するのをやめてSVのスタートアップ用に新たなNDAの書式を作った

 

大林組 

佐藤氏。SVにコミュニティを築くために恥ずべき事実をスタートアップと共有。一緒に価値を創造しようと投げかけた。本社の決裁権のある人を軟禁して1日中、スタートアップとピッチコンテストをやって、1週間で本質的な協議をしてGo or No goを決断させた。いちいち日本に帰っていたら通常業務が忙しすぎて日本に帰ると熱量が下がってしまう。シリコンバレーであれば重役のスケジュールを拘束できる。。モックアップの工事現場を作ってスタートアップにデモを作ってもらったりもした。

 

ソースネクスト

社長だけがシリコンバレーに住んでいる東証一部上場企業はここくらい。。。社長なので、Exclusive Licenseなど難しい判断を自身が迅速にできる。大体、日本から出張でSVへ行くと、帰国して成田エクスプレスあたりで熱量が冷めることが多い。住むというのも一つのソリューションという好例。SVでは週末に家族同士でBBQとかあったりして結構ウェットな関係もあったりする。そういった場所へ家族を連れていくと信頼関係を築きやすくなる。また、社長が社員にストックオプションを与えたりもしている。

 

ヤマハ

西城さん。最近、TRIに移籍。第3のYAMAHAを作ろうとした。創業者は大体がいいことを言っているのでそのメッセージをしっかり打ち出していた。CVCと事業開発の両方をやるということでSRIと組んでバイクを自動運転するロボットを作った。短期間かつ、低予算でMotobotを作り走らせることが出来た。西城さんから既に現地人材にバトンパスしている。

 

■スズキ

2016年にシリコンバレー駐在、会長を説得して2017年以降、毎週、若手から幹部まで日本の社員をどんどんSVに派遣。ワークショップ型でブートキャンプを実施。デザイン思考をもとにユーザー視点からの開発を実践。高齢者向け生活支援モビリティ。

 

パナソニックベンチャーズ

CVCにはConductive Venturesという名前で展開。パナソニックの名前を入れていない。クライナーパーキンスやインテルなどからベンチャーキャピタリストを現地採用。KPIはファイナンシャルリターン。投資判断には共同開発などを求めない。投資領域は事業領域には限定していない。NDA締結や投資意思決定も早い。

更にCVCだけでなく、Google X、Nest CTOなどを経験した共同創設者の松岡氏を迎えた。ユーザーファーストの視座を提供。日本にはサーモスタットが普及していないのでわかりづらい話だが、Nestはまさに極端にわかりやすいサーモスタットを作り上げた。AIが勝手にやるのではなくて、人間にやってもらうようにした。ユーザーのPain Pointを見つけ出した。たとえば、音声認識のAlexaとか、意外と使える。。。データを持っていかれるが価値ももらえている。Google Mapは位置情報を持っていかれるが、到着予測も正確。Home Xなどは大いなるチャレンジ。松岡氏抜擢は楽しみな展開。

 

東京海上日動

2016年SVで一人駐在。DNX VenturesとWilにLP出資。保険 x 自動運転をテーマにInsurance Xというイベントを開催し、SVでの認知度をアップ。招待制のみにして、一気にSVでのネームバリューを上げた。3年任期で日本に戻ったが、キャッチャー役で再登板。

 

旭化成

2008年に日本でCVC設立。20社以上のスタートアップに投資し、2社を買収。CVCの目標設定は買収。事業リターンのためのパイプラインづくり。4000社以上のスタートアップの情報を社内のイントラネットに掲載。見たい社員がだれでも検索可能なデータベースを作成。情報が社内で見られない問題を解消。買収した会社のCEOや役員やVC経験のあるアメリカ人をCVCに採用。毎年各役員に時間をもらってCVCの活動を説明する。

 

NEC

2018年に33歳で主席研究員になった人がCEOとしてNECからカーブアウトしてDotDataという会社をSVに設立。VC出資を受けていない。Amazonマクロミルなどとも連携。2019年時点で60人くらいまで増えた。

 

■ヤンマー

スタンフォード大学のD-schoolを活用して社員の意識改革をおこなっている。2018年に社長室コネクテッドビジネス室を開設。商品化や事業化に成功し始めている。

 

■まとめ

・話し過ぎて時間が無くなってしまったが、このほかにも富士フイルムや野村HDやトヨタ鹿島建設デンソー楽天伊藤忠など色々な事例がある。上層部と中間層の理解、連携がカギ。

・外から見たらわかる?ユーザーのPain Point。中から見てもわからない。SVにいると会社の強みと弱みが良く見える。例えば、姫路市の人は誰もがその価値に気が付いていないし、むしろ、姫路の人は困っているが、姫路駅にはたくさんの外国人が新幹線のホームに訪れる。時速300㎞でのぞみが姫路駅を通過する際の大迫力を体感できるからだ。この新幹線通過は外国人にはうけるが姫路の人には価値ではなく、むしろのぞみが通過してしまうという問題でもある。外の人のほうが価値を見出すという好例。

・未来のビジョン、具体的なものは外で作ったほうがよいのでは。

・Give and Take。Giveは?忙しい人がたくさんいる。日本企業からSV企業へのGiveが無い。

・エコシステムや作戦は?テスラの体感をどう伝える?研修もあり?どうやって会社で仲間を増やせる?US- Asia Technology Management Centerで産学連携プログラムとかもやっている。

 

<<質疑応答>>

Q.駐在員の3年タイマー問題についてどう思いますか?

A.任期があるのはしょうがない。でも、突き詰めていくと、本社の人事部がSV駐在の重要性がわかっていないことが多い。3年経って戻ってもキャッチャーになるとか、また赴任するとかそういうサイクルを作れるようになると良い。

 

Q.SV以外のほかのところもしっかり見るべき?

A.Pain Pointは?スケールする?イスラエルトロントはスケールできないところもあり、結局はSVの投資を受けたり大企業に買ってもらったり。SVの脅威になる場所というよりは補完関係になるところがほとんど。

 

Q.CVCの給与体系が本社に理解されない。

A.革新投資機構で給与制度が揉めて、ぽしゃったのはやっている人たちの給与が青天井だという批判だった。あの話は成功報酬だったが、リターンがあることが前提だった。VC業界は成功報酬で動いている人たちがいる。サラリーマンVCと青天井VCは実は全く違う人種。コミュニティも違う。キャリアプランも違ったりする。CVCの場合、成功報酬ではないのは不思議・・・。こうした仕組みを日本の本社が理解する必要がある。VC人材市場を本質的に理解することが必要。UCバークレーのエグゼクティブエデュケーションは人気もあるが、これまで日本で開催されてこなかった。3月後半に東京でVCのブートキャンプをする予定。。日本でVC周りのリテラシーを知る機会が無いのが問題かも。と思う。

 

Q.日本でSVのようなエコシステムができる?

A.スタートアップに来てもらうとしてPain Pointは何?エコシステムはそれを解決できている?〇〇シリコンバレー構想は35年間くらいで色々ある。箱を作ってハイエンドのスタートアップを呼び込もうとするところは多いが、Pain Pointがきちんと見えていない。来てほしいスタートアップを10パターンくらい見てPain Pointをマッピングしてシナリオプランニングしてみたりするとか?逆にSVではハイエンド人材が集まるが物価が上がりすぎて、使い捨てみたいになっている。もともと住んでいる人が住めなくなったりもしている。。。エコシステムやクラスターを作る場合、解決したいPain Pointが何かというのが重要だと考える。

 

 

*1:(Kiki注釈

https://wired.jp/2019/07/29/norway-electric-vehicles-tourism/

(人口はわずか550万人ノルウェーは、テスラにとって人口当たりの市場規模が最大の国というだけではない。売上高が世界で4番目に大きな国でもある)