就活生からの質問

Twitterで質問が来たので下記にて回答しました。

回答内容に少し付け加えます。

 

(質問)

22卒で就活生の者です。

建築資材のメーカー営業と商社営業どちらを志望するか迷っています。商社営業は幅広い製品を扱えて提案できるところにやりがいがあると感じているのですが、メーカー営業はどんなところにやりがいを感じますか?また、メーカー営業に向いている人はどんな人か教えていただきたいと思い連絡しました。

 

 

(わたしの回答)

こんにちは、面白いご質問ですね。

私は建築資材にはあまり携わったことがありませんが、一般的な見地と自分の経験から回答させてください。

「建築資材の商社の営業」と「建築資材のメーカーの営業」の間で迷われてると仮定して回答させてください。読み間違ってたらすみません。

 

■メーカー営業の良い点

 メーカー営業の良いところは製品を深く知ってその製品をいろんなお客さんに売り込める点だと思います。建築資材のような製品の場合は売り先は日本国内が主流かと思いますが、商流は大口先以外は卸問屋や建築資材商社などに販売するケースの方が多いかもしれませんね。

 大口先が得意先であれば自社の製品の作り方から加工、使われ方、市場を学び把握して、お客様のニーズに合ったご提案をするのがメインのお仕事になるかと思います。卸問屋のような中間業者が相手の場合は問屋の社長との関係構築であるとか他社品からの切り替えの交渉のための問屋のニーズ把握などが主なお仕事になりますかね。製品の勉強会などを開いたりして理解を深めてもらうようなアプローチもまた面白いでしょう。 

 メーカーの場合、商社ほど幅広く製品を取り扱うことはありませんが、そのメーカーの製品のことをとことん深く知るプロになることで顧客に付加価値提案を積み重ねる仕事と言えるでしょう。値決めであるとかマーケティングの楽しさもあるかもしれません。(この辺りの役割分担は会社によってははっきりしてるかもしれませんけど。)

 

■メーカー営業に求められる資質

 メーカーの営業をやってきた立場から言わせて貰えばもっとも大事なことは製品を好きになれるかどうかかなあと思います。製品愛と言ってもいいかもしれません。製品や市場のことにどれだけ深い興味を持ってのめり込めるかで、その後のセールスとしてのキャリアの展開は変わっていくと思います。たとえば、競合には無い特徴があるとか、抜群の機能を誇るとか、そうした製品であれば長く付き合っていけるのではないでしょうか。実際に使われてる製品を見たり、どのように使われるのかについて知ることが楽しいと思える人が向いていると思います。

 建築資材自体はコモディティ化が進んでる部材も多いはずですのでそうした部材の場合は市場で製品の価格弾力性も無くろくな値下げや製品開発や新製品も無く、ひたすらに営業の心意気や粘り強さや関係性でビジネスを獲得していく類の製品を売らなければいけないこともあるので、メーカーの場合、扱う製品の業界シェアであるとか、業界での位置付けは非常に重要かもしれません。

 シェア1位の場合と3位の場合では取るべき戦略も営業の普段の行動も大きく変わってきますし、建築資材のように市場が大きく伸びていくわけではない国内市場がメインの製品の場合、製品の市場におけるシェアがいきなりひっくり返るということはまあ余程のことがない限りありません。(品質不正とか起こらない限りは)

 なので、メーカー営業を検討される場合は製品の業界内でのシェアは必ず調べてみてください。マニアックな製品の場合はなかなかデータも無いかもしれませんが。

 とはいえ、どんなことでもそうですが、「興味を持って取り組んで分からないことは放置せずに調べたり人に教えてもらうようにしていく」ことはどんな仕事にでも必要なことと思います。

 

■商社営業の場合

 商社の場合、そうしたメーカーからの幅広い情報を製品ごとに大まかに把握してニーズがある顧客と繋げる仕事になるかと思います。供給元と供給先の間で納期や価格で板挟みになることもありますが、メーカーと顧客の間の情報格差を利用したり、配送や在庫機能などを提供したり、商社なりの情報付加価値を付けて提案していくことで中間マージンを得るお仕事という理解です。製品に対する理解はもちろん必要ですが、扱う商材が多いでしょうから、1つ1つの商材について深く知るには時間が結構かかるだろうと思います。

 

■給料

 給与は業界にもよりますが、若いうちは商社の方が良いことが多いと思います。仕事のキツさは建築資材系の場合はどちらも同じようにきつい印象がわたしにはあるので、お金の面だけで見れば高い方に行くのもアリかもしれませんね。キャリアとしてメーカー営業から転職して商社営業というのは多分ありえるのですが、仕事のキツさは商社の方が上かもしれませんのでうまく適応できるかは重要かもしれません。

 キャリアプランとしては商社営業→メーカー営業もあり得ますが、給与は下がってしまうかもしれませんね。

  

■建築資材大手の動向

 建築資材、住宅設備関連のメーカーではPanasonicLixilTOTOやらが上位を占めていますが、これらの大手メーカーであればワークライフバランスはそれなりに取れているのだろうなあ、とは想像します。

 商社の規模感が最大手でも3000億円クラスが主体であるのに対して、メーカー側でLixilあたりは様々な事業のかき集めた結果とはいえ、1兆円を超えており、Panasonicにしろ5000億円を超える規模感の売上であることから、建築資材商社のほうが規模感は小さくなるというのは意外でした。最大手メーカーに勤めていればの話ですが、メーカーのほうが安定感や給与が高いのは驚きでした。

 

■余談

ここからは余談です。

 自分が過去に勤めていた会社では合成樹脂であるフィルム以外に建築資材も扱うメーカーでした。

自分はフィルム事業に配属されたのですが、入社同期のK君がその建築資材事業に配属されました。同じ支店で働くことになりました。K君はばりばり上司に鍛えられ、わりとすぐに営業担当先を持たされて展示会準備や接待、社内での報告、売り込みなどにも頑張っていました。(私は過去、内勤をしていたり定時帰りが多かったりとと結構余裕のあるキャリア初期でした。。。)K君の上司は非常に強硬な物言いをすることで有名な人でなかなかパンチのある体育会系のキャラでした。(私はこの方には大変よくしていただいたのですが、体育会系の物言いがすこーしだけ苦手でした。ただ、私の父が勤めていたメーカーでもあり、私は当時、コネ入社でなおかつ父はまだ会社に在籍だったので、私はすごーく年長の皆さんから優しく接していただいていました。)

 建築資材の展示会のために同期が貴重な休日に出勤し、展示会ブースを木を切ったり紙を貼ったりして作っているのを見て恐ろしい、、となりました。(私はよく考えると、展示会を見に行くことはあっても、自分が出展する側に回ることは、この当時の会社では終ぞありませんでした。)

 K君は上司にビシバシしごかれ、月末に注文を取ってくるまで、問屋から帰ってくるな、と言われて本当に夜遅くまで問屋で座り続けたりしていました。(しかも、その日は注文もらえず、、、)

 K君と私は会社の社員寮でのルームメイトだったため、(部屋は分かれているが玄関、シャワートイレは共同使用)よく私よりもはるかに遅く帰ってくるK君が大変そうにしているのを見ていました。(一方、私は残業抑制のお触れもあり、残業ほぼ無しで日々定時に帰っていました。というか、当時この会社にはタイムカードはあるようでなく、残業代は出ていなかった。名ばかりの営業費用が支給されているだけだった。なので、K君はずーっと休日出勤も含めてサービス残業だった)

 結局、K君のように大変な目には遭っていない私のほうが先にこのK君よりも先に会社を退職し、転職するに至るのですが、しんどい目に遭っていたK君もまた、その後に転職してしまいました。今ではまるで違うキャリアですが。。。当時の彼の苦労を知る身としては、建築資材系の世界の大変さは恐ろしいものがあり、ちょっと自分には無理かも、、、とも思わされました。(農業資材系もちょっと似た雰囲気がある)

 あと、当時K君と話しているときに建築資材商社のN社などは規模も大きく、仕事も華やかでいいなーと思ったというコメントを聞いていました。私の建築資材業界へのイメージはこの彼の経験や話をもとにして形成されているところはあるんですよねえ。。。