記事「脱炭素時代の「日本の生き残り策」とは?」に対するコメント

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ニューヨークに赴任した翌日、オーツ麦由来の植物性ミルクである「オートリー」を飲む機会があったのですが、想像以上のまろやかさに驚きました。調べてみると、あちこちのカフェのバリスタが使っているし、いまやスタバで全店舗が採用したり、どこのスーパーでも売れすぎて品切れになっている。
そこで、なぜ売れているのかを追っていくと、味の良さもさることながら、やはり気候変動との絡みで売れているわけです。
というのも、「牛がオナラやゲップを通じて排出するメタンガスは、CO2よりも温室効果が高い」という文脈が、国民全体とまでは言えないにせよ、少なくともニューヨークのような都市では、明らかに日本よりもマスの部分で共有されているからです。
日本で「牛のオナラやゲップ」というと、やはりどこか笑い話のように捉えられがちです。でも、アメリカでは「このまま牛に頼っていてはいけないよね」と考えるし、それだけでなく、実際に行動に移してオーツ麦のミルクを選ぼうとする人が大勢いる。
オーツ麦以外の植物性ミルクにしても、「インポッシブル・フード」や「ビヨンド・ミート」などの植物肉にしても、ヴィーガンやヴェジタリアンのように強いコミットメントを持って選んでいるというよりは、あくまで普通の感覚で「できるだけ牛乳や牛肉に頼らないようにしよう」と考えているイメージです。

 

日本とアメリカで牛のおならやげっぷへの認識の差がある理由は何か。

これは世界の中でどれくらい牛が飼育されていてアメリカと日本がどれくらいの差があるか、という点を考えるとわかりやすくなる。
 

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 上記によれば、全世界で飼育されている牛の数は実際には右肩上がり。

2021年には1,000,967千頭もの牛が全世界にはいる。

そのうち9%がアメリカ。93,595千頭もの牛がいる。アメリカ国民は3.2億人くらいなので、3人に対して一頭の牛がいる計算になる。

一方で日本には3,922千頭の牛がいる。比率はより低い。

アメリカ人がたくさん、ステーキやBBQやハンバーガーで牛を消費しているのは紛れもない事実だ。オートリ―やインポッシブルバーガーが記事に出てくるが、それ以上にものすごい量の牛を消費しているのがそもそもアメリカなのだ。意識高い系の食事をできる上流階級とそうでない層の格差も大きい。絶対に、ハンバーガーショップに行かない層が一定いるが、その10倍以上の人たちが、バーガーキングハンバーガーを食べている。チェーン店だけで、バーガーチェーンは20000店舗以上、アメリカにはある。ロードトリップをすれば、必ず1回はハンバーガーを食べるしかないくらい、どこにでも店舗がある。

この食文化の差は大きい。
 アメリカの農業州(ex. カリフォルニア州アイダホ州)を車で走れば、牛がどのようにして、育てられているか、見えてくるが、その牛の数を見るとギョッとする。牛がごった返している農場もある。私もドライブしている途中にロスアンゼルスへ向かうI-5の道すがら、大量の牛を見たときは流石に絶句した。こうした光景になじみがあるからこそ、アメリカのほうがより、牛のげっぷやおならに対しても実感がわきやすいのかも、というのはある。

 記事にある「日本が我慢を強いる国」というのは鋭い指摘かもしれない。

ひとつネックになっていると思うのが、日本人にとって気候変動や環境の問題は「我慢」で解決するものだということです。
なので、省エネへの取り組みはとても早かった。クールビズとか、オフィスの温度を28℃に設定するとか、そういったことはアメリカではほぼやっていません。その意味では、日本人から見ると「本当に環境のこと考えてる?」と言いたくなるような一面もあります。
欧米のカルチャーには、どちらかというと「我慢したくない」という意識が根底にあると感じます。つまり、我慢するくらいなら、全部変えてしまったほうがいいと考える。
化石燃料を使うのが不都合なのであれば、我慢して省エネに励むよりも、全部再エネで電化してしまえばいい。牛肉を食べるのがマズいのであれば、我慢して食べる量を減らすよりも、植物で肉モドキをつくってしまえばいい……という発想です。

 

 昔、流行らなかった半袖ジャケットなんかが良い例ですが、暑いならジャケットなんか着なきゃいいという発想になかなか至らない。現状を変えずになんとかしようとする。右へならえの事なかれ精神、周りに迷惑はかけてはいけない、ということが骨の髄まで浸み込んでいるし、そういう教育をしてきた。
 あと、インポッシブルバーガーを食べたときに思ったのがこれって殆ど大豆バーガーじゃん!ということ。日本はマーケティングで何歩も遅れているけど、日本にだって20年も前から大豆ハンバーグとか大豆バーガーはあるわけで。その点は森川さんの指摘の通りと思います。