カリフォルニア山火事

 

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www.nikkei.com

カリフォルニア州は非常に乾燥しているため、夏になると、非常にドライな気候になる。気温は30℃を超える日もちらほらある一方で、湿度は日本ほどは高くないので、非常に過ごしやすい日も結構あった。しかし、ここ2週間ほどは暑くて熱波が来ており、窓を開けても涼しい風は無く、ひたすらに暑い。

そこにきて、数日前にカリフォルニア州内ですごくたくさんの落雷があった。シリコンバレーだけでも10個以上の落雷があり、これが原因で現在、カリフォルニア州はそこら中で山火事が起きている。

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activenorcal.com

 

この山火事、毎年問題になるのだが、今年は特にひどいそうで、確かにここ数日のPM2.5のレベルは非常に悪い。昨年もナパ・ソノマでのひどい山火事のせいで空気が悪くなって妻が慌てて3MのN95マスクを緊急で買ったくらいだ。(しかし、すぐに事態が解決したので、Amazonで返品してしまった。昨年は余裕で買えた。あれがまだあれば、コロナ初期は結構安心感があったが。。)

 

で、カリフォルニア州消防団のHPで現在、リアルタイムで火事の様子もUpdateされている。思いのほか、火事が起きている場所が我々が住むエリアに近く、しかもかなり広範囲で燃えている。避難勧告がなされているエリアには行ったことがあるエリアすらちらほらある。リック天文台とか数回行ったことある山の中だが、そこの近くもかなり燃えている。

https://www.fire.ca.gov/incidents/

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www.sfgate.com

 

毎年毎年、ここまで問題になる乾燥した気候と落雷&山火事とそれに伴う停電、(停電に関しては強風+電線ちぎれでも起こる)計画停電リスク、そして、今年はコロナも加わって、もはや役満だ。

朝から夕焼けみたいに太陽が霞んでいた。

そして窓を開けると煙たいので窓は開けられない。
停電の危険があるから節電しろというメールも電力会社のPG&Eから来る。

(PG&Eは過去に山火事による被害原因と賠償で破綻している。

www.nikkei.com

そもそも論で節電したくても、窓が開けられないし、窓を開けたら煙たいし、なんなら暑すぎてエアコン切れないし、でそもそも外に出ることはコロナだからあまり無いけど気晴らしの散歩すら出来なくなって家族全員家から殆ど出ない日が3日目を迎えた。

サンタクララサンノゼの近くの山でもまだまだ火は燃えて広がっている。サンタクルーズやサンマテオでは一部避難も始まっている。

 

 

 毎年問題になるのに、一向に具体的な解決策は提示されないこの山火事。解決できるような技術の開発とかスタートアップとか現れないものか、とも思うが、分析や予測はできても、どう防ぐか、という点になるとやはりテーマ的に難しいようだ。災害とか山火事とか色々なアプロ―チでビジネスを考える人がたくさんいることがわかるが、根本的にこの火事を起きないようにするのはなかなか難しい。

テクノロジーは根本的な問題や人々の暮らしを良くしてない、140字で呟く企業にお金は転がり込むけどこういう転ばぬ先の杖にはなかなかお金が注ぎ込まれない。CSRとか社会課題解決、などと叫ばれて久しいが。数千億円の私費をコロナのワクチンに注ぎ込むビル・ゲイツみたいな人があと数十人いないと世界は住みよくはならないということか。

 

■火災が起きそうな場所をAIで予測

jp.techcrunch.com

 

■火災が広がるのを抑える難燃剤入りのゲル

wired.jp

 

■山火事を消火するためのドローン

wired.jp

 

■建物の被災可能性を予測

www.kankyo-business.jp

 

■災害キットなど

blog.btrax.com

ヨセミテ国立公園一泊二日

今年のお盆休みは日本に一時帰国することもできず、かといって、結構日本側が長いお休みでもあるため、土日にヨセミテ国立公園へ一泊二日で行ってみることにしました。

 

■予約

7/1にあらかじめ公園への入場を予約したのですけども。(毎月1日にWebsite上で翌月分の予約がオープンになる。)

 今年はCovid 19の影響で、ヨセミテ国立公園も1日あたりの入場者を制限しており、事前にWebsite上で予約しておかないと入り口で追い返されてしまいます。予約をするとメールが来て、2次元バーコードをpdfで送ってくれるので、それを見せると入場することが出来ます。(国立公園入場パスは別途購入が必要です)

 もちろん、公園はOutsideなので歩いているときはマスクを絶対しなければならないわけではないのですが、パブリックスペースで売店などに入る際にはマスクはするように書かれています。下のチラシの通り、なんとかかんとか、一部の機能はヨセミテビレッジ内でも保たれており、ごはんを食べたり、パンを買ったりすることはできました。トイレも使えました。

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2020/08/05現在の公園内のサービス

 土曜日は早朝3時半頃に起きて4時40分くらいに家を出て自動車でひた走り、ヨセミテ現地へ向かいました。サンノゼサンタクララ周辺からだと、ノンストップで大体3時間半から4時間程度かかります。途中、ガソリンを入れたりしながら、ヨセミテの国立公園の駐車場に到着したのは9時半くらいでした。

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ヨセミテへの行き方

 駐車場で準備したり、子どものおむつを変えたりして、カリービレッジを出発したのは10時半頃でした。今回はカリービレッジからトレイルヘッドパーキングを抜けて、Mist Trailに入っていきました。次女を抱っこ紐で担ぎ、長女は歩いて、ずんずん向かっていきました。

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ビレッジ内の地図

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途中で見かけたリス

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一方通行のエリアがあります

 

 

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Vernal Falls Bridgeから見た滝


 Vernal Fall Footbridgeまでたどり着いて引き返してきました。どうやら、私はこのルートを歩いたことがあったようで、2017年にハーフドームにチャレンジした時に早朝真っ暗な時間にこのルートを歩いていました。ただ、当時は朝4時半から暗がりをライトを付けながら歩いていたので、あまりこの道を歩いた記憶がありませんでした。滝を見たときに、自分が歩いたことを思い出しました。

kikidiary.hatenablog.com

 

 たまに人とすれ違うときにはマスクを付けたりしていたのですが、とにかく布マスクが暑い。自分の息がさらに暑く、体感温度もどんどん上がっていくような感じで、まさに「I can't beathe」とはこのことか、とも思えるほどでした。。。真夏のトレイルということをもっと真剣に考えるべきだったかもしれません・・・。カリービレッジまで戻ってきたときには疲れ果てていました。。その後、なんとか、ランチにありつけました。

 今回はスーパーマーケットで事前にハムとパンとチーズを買っておいて保冷ボックスに入れて持ってきていましたので、それをランチにしました。ちょっと高級なサンドイッチ用のハムだったのですが、これは正解でした。。疲れを癒してくれました。

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ランチ



 ランチを家族で食べ、次女にもお昼ご飯をあげて、そこから移動、、と思いましたが、とにかく疲れていたし、すべてのアクションがスローでなかなかカリービレッジから離れられませんでした苦笑。本当であれば、更にトレイルをするという目論見もあったのですが、速攻で諦めて、グレーシャーポイントまで行くことになりました。

 

■グレーシャーポイント

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 グレーシャーポイントは結構遠くて、自動車で往復1時間以上かかってしまいますが、行ってみると毎回癒されるような壮大な景色が楽しめます。
 グレーシャーポイントでひとしきり景色を楽しんだ後は、ホテルに向かいました。今回は前回と同様、Yosemite View Lodgeに宿泊しました。ここはMerced River沿いにあり、ヨセミテ国立公園の入り口からもすぐ近くのホテルでして、ヨセミテは夏がハイシーズンなので、Covid-19の影響があるはずなのに、やや値は張り、Hotels.comでコツコツ貯めていたポイントを使ったので、少し安く宿泊することができました。

■ホテル

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ホテル

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ホテルのレストラン

 ホテルはレストランとピザ屋があるのですが、レストランは残念ながら、クローズしており、ピザ屋はアウトサイドシーティングとお持ち帰りのみオープンしていましたので、家族用にミドルサイズを1枚購入し、部屋に持ち帰り、部屋のパティオで家族で食べました。ピザは意外にも結構おいしかったです。私は久々にビールを飲みました。

娘たちを大騒ぎしながらお風呂に入れました。(このホテルは2階の部屋には湯舟が部屋にあったりするちょっとカップル仕様のお部屋もあるのですが、私たちは今回は家族仕様の部屋でシャワーも非常に簡素なものしかありませんでした。。)なんとかかんとか次女も寝てくれて(妻は何度か寝かしつけで起きたようですが)、ゆっくり寝ました。

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パティオ

 パティオからはMerced Riverも見えて、川の音がして、とても清々しかったので、翌朝の朝ごはんもパティオで食べました。(が、暑すぎて途中で部屋に逃げ帰りましたが。。。)ホテルの売店にはパンや飲み物が豊富に売っていたのでお菓子パンを買って、別の売店で購入していたサラダと一緒に朝食としました。(どうにも野菜が不足しがちです、アメリカ国内旅行では・・・)

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パティオから眺めたMerced River

 ホテルをゆるゆると出発し、一路向かったのはヨセミテ国立公園の中でも有名なアワニ―ホテルの駐車場でした。

 

■アワニ―ホテル
 アワニ―ホテルはいくつかの点で非常に有名なホテルです。過去には、スティーブ・ジョブズが妻ローレンとの結婚式を挙げたり、ジョン・F・ケネディグレタ・ガルボ、イギリス女王のエリザベス2世、ウィンストン・チャーチルレーガンアイゼンハワーオバマウォルト・ディズニーなどの著名人がアワニーホテルに宿泊しています。予約が非常に取りづらいことでも有名です。アメリカ全土でも有名かつ、「一度は泊まりたいホテル」、と言われています。

en.wikipedia.org

ジョブズはその後、晩年にもこのヨセミテのアワニ―ホテルに無理やり宿泊するというエピソードが伝記でも出てきます。

また、映画「シャイニング」ではこのアワニ―ホテルの内装が参考にされたと言われています。

hanemone.blogspot.com

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アワニ―ホテル

 

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ダイニングルーム

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豪華なホテル内装

 アワニ―ホテル、いつか泊まりたいものですが、なかなかそんなチャンスも無いかもしれません。

 

■Mirror Lake(ミラーレイク)

 さて、そこからストローラーに娘たちを乗せて、一路、ミラーレイクへ向かいました。途中迷いつつも、ストローラーでも行けるという妻の友人のアドバイスをもとに延々と45分ー60分くらい歩き続けてなんとかミラーレイクへ到着!したものの、ミラーレイクは真夏には水が枯れるため、そこには水がほとんどありませんでした。奥のほうに少しだけ水が残っているということで行ってみたところかろうじて残っていました。(あらかじめホテルで水が無いというのは聞いていたのですがね)

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ミラーレイク

水はあまり残っていなかったものの、ミラーレイクがある場所は開けた場所になっていて、周りが山々に囲まれていてなかなか壮観な眺めでした。

泳いでいる人もいました。空の青と入道雲が非常に美しい夏を感じることが出来ました。

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ミラーレイク

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入道雲

 ミラーレイクを後にして、アワニ―ホテルまでまたもやストローラーを押して戻ってきました。8月の熱気で頭も熱くなりました。幸いなことに湿度はそこまで高くないし、たまに風が吹くので、そこまで汗はかかないのが救いではありましたが、頭がぼーっとするくらいの暑さではありました。

 なんとかかんとかアワニ―ホテルに戻ってきて、おむつ変えたり、トイレ行ったりした後に、ホテルのレストランにあるバーカウンターでランチを注文しました。サンドイッチなどを売ってくれるのですが、まさに3つ星ホテルたるアワニ―ホテル価格で、サンドイッチ2個で50ドル近くになりました。。。。た、高い、、、、。プライムリブサンドとチキンサンドでした。

 噛み締めつつ、美味しくいただいて、そのあともホテルの売店でアイスコーヒーや冷えたお茶を買ってホテルの外で飲んで、なんとか失った体力を取り戻しました。テラスにはリスがやってきたり、ブルージェイという鳥がやってきたりと、食事を狙う動物で大賑わいでした。

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とさかが特徴的なブルージェイ


 ホテルを後にして、Valley Viewへ向かいました。ここからはBridalveil Fallが見えます。Bridalveil fallは現在、工事中で下までは入れなくて遠くから見ることしかできませんでしたが、水が少なくなっており、風が吹くと煽られて霧消するのがわかるくらいに水が減っていました。

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ミラーっぽく見える

Vallye Viewを後にして、トンネルビューで家族写真を撮影してそこから一路、帰路につきました。

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トンネルビューからの眺め

 帰宅開始したのは17時過ぎで、そこから家へ到着したのは20時半頃でした。なかなか疲れましたが、やはり旅は楽しいものだなあとつくづく感じました。帰路の車の中ではほとんど娘たちが寝ていたのも印象的で、旅の帰りという感じがすごくしました。(次女は車酔いがひどく、行きに吐いたりもして、帰りもひやひやしていましたが、帰りはなんとか持ちこたえてくれました。。。

電子部品・材料業界の定期価格改訂(プライスダウン・PD)と呼ばれる商慣行について

Twitter上で、野村さんが値引きについて下記のようにコメントなさっていた。

 

 

ふと、自分が今いる業界にある商慣行について考えるきっかけになった。

 

 

というわけで、解説記事を書く。

 

■まず、定期PD(Price Down)とは何か?
定期PD自体は電子部品、材料業界では多分かなりよくある商慣行。購入元である、調達部署が調達先であるサプライヤーに対して、定期的に値下げを要求してくる商慣行を指す。自動車部品業界でもたびたび見られる。

 

■頻度と規模感

調達部署は大体、多岐にわたる品目を加重平均で数%程度の値下げを半期や四半期に一回要求してくることが多い。10%-15%を要求してくるが2-3%程度に落ち着くことが多い。

 

■どういう形式か。理由は?

価格協力のお願いといったタイトルで調達部長名とか役員の名前が入った文書が送られてくることが多い。で、後日、調達部員ないしは時には役員がサプライヤーを行脚してきて価格を下げて欲しい的なお願いをしにくる。

 

値下げ要求の理由はおおよそ下記。

・市況悪化

・景気悪化

・調達環境の悪化(原材料の高騰)

・市況拡大

・景気拡大

・数量増に伴い調達規模拡大

実は購入数量が減っても増えても、価格を下げてほしいという要請になる。

 

■対応について

対応する場合の主な理由は下記。

・会社対会社の関係を重視

・調達と営業の人間関係を重視

 

対応する場合の条件設定としては下記が代表的。

・シェア維持

・継続購買の約束

・翌半期の数量見通しの提示

・為替調整(ドルや人民元購入の場合)

原油コスト、ナフサ、金属市況など材料の原材料が強く連動する場合はそことの連動

・古い材料・部品の生産中止(ディスコン

 

だが断る!と言いたいし言うことも稀にあるがやはり会社と会社の関係であるとか、調達と営業の人間関係がお互いに長い取引のために重層的になってるとなかなか断るのは難しい展開になることが多い。(大体、調達部も言いやすいところ・サプライヤー・自分が言いやすいところ、お願いしやすいところからお願いに回っていることも多い)
結局、調達がそんなこと言ってもそれなりに継続して買ってもらえなければ値下げするのもアホらしいのでシェア維持の約束であるとか、数量見通しを出してもらって翌期の値段を確定させることが多い。取り決めが無ければ、為替なども調整したりすることもある。ただ、毎半期にそれだけ値下げしてるとあっという間に利益が無くなっていくので新製品は高めの値段を置かせてもらってバランスを取ることが多い。こうした商慣行が続くため、技術的に陳腐化してしまうと数年すると、ものすごくモジュールの値段も下がることになる。(実際、液晶パネルモジュールはどんどん価格が下がっていく。受給が調整されると価格が戻ることも稀にあるが。)供給期間が長いものの中には、古い材料や部品を供給停止にすることを条件にしたりすることも大いに考えられ、代替品に切り替えてもらうよう調整したりもする。(古い製品を少量生産していると生産効率が悪いことも多い。)

 

対応しない場合には人間関係などが悪化する可能性はあるし、調達部署の上層部が会社上層部に乗り込んできて喚き散らすようなことも起こりうる。あまり禍根を残すと、調達部が出入り禁止にしたりして、参入余地が無くなることもありうるため、禍根が残らないように根回しして、調達担当者とうまく「落としどころ」を探るのが重要と言える。そのためには調達部署でどれくらい今回の価格低減の目標を設定しているのか、社内の雰囲気、今後の調達戦略などをヒアリングしたり、調達部署の人間関係を把握していくのが非常に重要になる。大体、調達部の方々の性格によるが、細かい人もいれば、おおざっぱな人もいて、数量情報や他社情報を教えてくれる人もいれば、メールだけで済ませようとする人もいる。また、調達部署がどの程度、設計部署などに対して強く言える会社か、という見極めも重要。調達部が大した力を持っていない場合、調達部と会話する意味がないし、設計部署などと話をして、決まった価格をただ、伝えるだけ、になるということも実務上はありうる。

 

また、トヨタなどは鉄鋼関連の部品を鉄鉱石市況とリンクさせて、交渉することもあったり、ナフサ連動で石油化学製品を価格改訂させたりすることもある。

newswitch.jp

 

■そもそも価格って継続的に下げられるものなの?

 大量生産すれば調達価格は下がるはず、という考え方のもとで効率化は当然自発的な図られていくもの、という前提で、客もサプライヤーも日々原価低減してることが大前提の商慣行とも言える。原価低減活動は材料メーカーや部品メーカーでは日常的に行われており、VAだとかVIだとかそういう名目で改善活動が日々続いている。装置の段取りを変えたり、向きを変えたり、省人化を進めたり、することで製造コストを削減していく。原材料や間接材料の材料費やプロセスコストを圧縮することで、コストダウンをしていく。原材料費はなかなか下がらないので、いかに効率的なプロセスで製品を作るか、というのがサプライヤーにも必要な考え方になる。

 

■いかにして競争力を担保するか?

 中国や台湾、アジアとの競争になると人件費が安い分、日本は不利になることが多く、いかに技術流出を防ぎノウハウを自社で持っておくかは極めて大事になる。要は真似されない部品、材料を作ることで参入障壁と値下要請障壁を作っておくということである。各サプライヤーの「真似されないための努力」は涙ぐましいものがあり、電子部品メーカーとしては大昔、シャープが韓国へのエンジニアの渡航をさせないようにしたり、村田製作所がセラコンを作る装置まで内製してるのは有名。人件費で云々ではなくて、陳腐化させない努力であるとか微細化だったりと技術トレンドをうまくロードマップと一緒に引いていく技術開発力や市場リーディング力が必要になる。プライスリーダーになると言い換えることもできよう。

FF7リメイクをプレイした感想

FF7リメイクは面白い作品に仕上がっていた。

このためにPS4を買ったようなものなので楽しみで仕方が無かった。(ラストオブアスという名作がPS4買った時にバンドルで付いてきたのでそっちはそっちで最高に楽しんだのだが)

 

事前に思っていたよりもはるかにやりごたえのあるゲームになっており久しぶりにRPGに没頭した。(かなり前にプレイしたドラクエ11 も楽しかったけど)

 

 FF7といえば、中学生の時にコンビニエンスストアで発売されたのを無理やりに買いに行ったのを今でも覚えている。どこで買ったかな、、、とにかく自転車で遠くのコンビニまで買いに行ったんですよ。(うちの地元には当時、あまりコンビニが無かった)CD-ROMが3枚組になっていたり、最初のムービーに度肝を抜かれたり、その複雑なストーリーを当時、熱中してプレイしたのを思い出します。

 

さて、そんなFF7のリメイク、クリアしました。ネタバレします。

 

 

 FF7リメイクはFF7当時の技術力では出来なかったあれこれをグレードアップして再現しながら現代のCGやフルボイスでミッドガルという巨大な箱庭を作り上げることに成功した。ストーリーとしては特に分岐も無いため、一本道であり、脇道は殆ど無い。厳しいレビュアーに言わせればまだまだ課題は多く、水増しにしかなってないとか、戦闘がかったるいとか色んな批判もあるが、新要素が追加され、話がどんどん元の作品とは違う方向に進み始めるに従って、面白さは加速していった。2020年を代表するRPG作品であることはまずもって間違いない。(もはや、きょうび、あんまりJ-RPGなんてプレイされないのかもしれないが)是非とも誰かスクエニにじゃぶじゃぶお金を注ぎ込んで続編完成発売を急がせて欲しいものである。

 

もういろんなところで語られているがこれはFF7のリメイクに見えて全く違う結末を迎えるだろう別の作品の一作目である。奇しくもFF7が当時、ひどく内省的な主人公クラウドの物語で、エヴァの影響を色濃く受けたと思える内容だったことを考えると、まさにFF7リメイクはエヴァ新劇場版序的なお話の展開を迎える。シンFF7と言っても良い。

 ほかの方々も指摘している。

subculchan.com

coyuc.exblog.jp

 少しずつお話の中で過去作品との違和感が大きくなっていき、そして、そのプレイヤーが感じるストーリーへの違和感はまさに劇中に出てくる運命の番人ことフィーラーによって表現される。フィーラーが出てくるシーンは幾つもあるが、ことごとくFF7本家のあらすじから外れようとするシーンであるからだ。作中でもそのように説明されて度肝を抜かれた。そんなのありか。まさにFF7メタフィクションを示唆する存在が劇中で随所に現れ、そして、遂にはラスボス手前のボスとして君臨する。高速道路戦以降、激闘が続くし、明らかにならない情報とここで明らかになるもはっきりしない示唆的な表現も多く、エンディングでまたもやいくつか衝撃を受けるため、なかなか整理しきれない人が多い。

 自分もそのうちの1人だが色んな記事を読んで、色んな動画も見て、振り返っていくことでようやく自分の中でもある程度整理がついた。 

 お話的にはまさにミッドガルまでしか進まないため、「俺たちの戦いはこれからだ!」的な終わり方であり、実際そうなのだが、続編発売日がまだ発表されていないこともあり、非常にじれったい状態であることは間違いない。

 今回のストーリーやキャラクターの生死について、去就やその正体については色んな予測推測言説があるが、それらは既に関係各所で相当語られているため、置いておくとして、作品の変遷や時代性について考察しておきたい。

 

なぜ、今この時代2020年に、FF7リメイクはこんな話(やり直し系、ループモノ)になったのか?(2015年に発表してるので、開発期間長過ぎ…という問題は置いておいて…)

 

 FF7を考察するときにやはりFF7の物語の特殊性について触れないわけにはいかない。なぜならFF7を除けば、それまでのいずれの作品においても基本的にはキャラクターがたくさん出てくる群像劇であり、数多くのキャラクターが活躍するが、その内面を深く掘り下げることはなかった。ロムカセットでの容量の限界、2D 2頭身キャラでの感情表現の限界という面もあったろう。間であるとか、情景描写で物語を紡ぐタイプのストーリーテリングであった。FF6で言えばロック、FF5で言えばバッツ、FF4のセシルなどはそれなりに過去が描かれるキャラではあるものの、内面を描くというよりは過去の行動を回想で少しだけ振り返るものが多かった。(ロックはレイチェル関連、セシルはそこまで過去描かれない、バッツは過去の両親関連くらい?)

 

 もちろんFF7でも各キャラクターの来歴や過去について掘り下げる部分は勿論あるがそれよりもやはり大半の時間を使って語られるのはメインキャラクターであるクラウドのあやふやな記憶、何度も語り直される過去、セフィロスとの過去の因縁などの面が多かった。

そうした話は下記のような記事でも指摘されている。

 

note.com

 

 FF7とは打って変わってFF8ではあまり暗い過去の無いスコールというキャラをメインに据えて、話を展開している。(親の世代の話は親が実際に出てくることで話が展開する。改めて調べ直すとスコールの過去も色々複雑ではあるが。。)FF9では主人公のジタンはもっと明るいし、FF10ティーダもまたそうだ。FF12では主人公は空気と化してしまい、13は話がごちゃごちゃしていてとてもじゃないが、お話を楽しめる構造にはならなかった。(ファンもそれなりにいるが、酷評する人も多い)15は未プレイだが、もはや、ルックからしてプレイしたいと思わせる要素が無い。ファイナルファンタジーは挑戦的なJ RPGの代表格ではあり、毎作品ごとにさまざまなシステムやストーリーやキャラクターや世界観に挑戦してきてはいるが、13以降は失敗が目立つ。それはあまりにこねくり回し過ぎているからだと思っている。実はFF7にもその片鱗は見え隠れするのだが、それでもお話としてはまとまりがあった方ではあるのだろう。

 

 ゼノギアスFF7は当時のスクウェアの特徴的なストーリーテリングとド派手なCGやアニメーションによって一時代を築き上げたと言っても良いが、この2作品はその数年前の大ヒットアニメであるエヴァの影響を色濃く受けているという話もよく指摘されている通りである。ゼノギアスの主人公とFF7の主人公に着目すれば、それはよくわかるところだろうか。とにかく揺れがちなあやふやな自我であり、過去もはっきりしなければ、旅の目的も自発的なものというよりは周りに動かされていく翻弄されていくストーリーであり、そして、ある時点において自己が崩壊したり、人格統合の話が出てきたりする面でもかなり内面を掘り下げるような演出が多い。いずれのゲームも脚本家が影響を受けたのは間違いなさそうだが、この90年代後半の創作物って多かれ少なかれ、当時社会現象にまでなったエヴァを意識せざるを得ない話が多かったようには思う。

つまり、

・無駄に細かい設定とかリアル描写、細かい舞台背景、(他だと極太明朝体とか)

・意味ありげな伏線、回収しきれない伏線多数、それでも謎が謎のままでもその謎をちりばめることで物語の推進力にしてしまうというある意味、強引な作劇

などである。

 

 FF7もまた各所で指摘される通り、クラウドはヒロイックな登場とは裏腹に彼自身が序盤で言ってたことはおおよそ全部嘘であり、本人はそう思い込んでるだけ、と、かなりプレイヤーを困惑させるキャラであり、序盤のクールで無愛想なクラウドは後半では自我が崩壊した後に立ち戻ったときには完全に方向性の違う柔和な言動さえ見せるキャラになる。(クリア後の別作品ACなどではまたクールなキャラになってはいるのだが)

 

note.com

 FF7リメイクではミッドガル編までなので、本家ではまだミッドガルではクラウドが出てきたばかりで、こうした複雑な内面の話にまでは至らないだろうなあ、どうやって話を展開するのかな、と思っていたが、今回のストーリーはまさにエアリスやセフィロスを起点とした「ループもの」の様相を呈した。まずもって、各キャラのセリフが激増してるわけだが、エアリスに関しては思わせぶりなセリフ演出が格段に増えており、途中からはもはや、「本家FF7では知らなかったことを既に知ってしまっている別のエアリス」であることは確定的になっており、物語の新たな水先案内人と化していく。それでも謎が残ったまま次回作へ持ち越しなわけだが…。

 

 敵役セフィロスは正直、過去作未プレイだと、一体何をしたい人なのかさーっぱり分からないので、これは恐らく制作上の大きな問題なのではないか?とは思うのだが…(開発スタッフは真っ白な気持ちできちんとプレイしたのかな?FF7を知らないプレイヤーにモニターさせたらぜったいそういう意見は聞けたと思うのだが) プレジデント神羅が死ぬ必然性とかも明確には語られないまま。

 

 またエヴァかと思いきや、その世界観を引き継ぎながらもループものにいつの間にか変容していく、という演出のゲームだったとも言え、これはまさに演出で言えばエヴァ新劇場版的でもあり、新解釈による新たなるストーリーを始めてしまった、しかも、運命の番人を打ち倒したのでお話的には次回作以降はどう展開しても良くなった。

 とはいえ、あくまで、本家をベースにして話が進むとは思いますが…(たとえば、ケットシーもチラッと出てくるし、レッド13の話とかやらないわけにはいかないわけで…ヴィンセントやユフィ、シドなど、話を盛り上げる仲間はまだまだいるので、果たしてこれが次回作構築にどう貢献するのか?という期待と不安は大きくなるばかり。

 

 次回作の発売日すらまだ公表されていないという前代未聞の分作ですが、次回作も首を長くして待ちたいと思います。多分、PS4でも出てくれることを祈りつつ・・・。

 

模様替え

 最近は仕事に関する投稿ばかりで昔みたいに日々に思いを馳せるような記事を書いていない。結構、そういう記事を昔は気軽に書けていたのだが、ここ最近はどうにもそういう思いの丈を書き連ねることが出来ていない。Twitterに書き連ねてもどうにも愚痴っぽくなる。

 WFHが長くなり、もはや、4か月半くらい経ってしまった。こんなに長く家で働くことになるなんて、もはや想像の域をはるかに超えている。そんな体験を全世界の人々が同時に体験している。こんなことが起こるのがパンデミックなのかと驚愕し続けている。アメリカではシアトルやシカゴではいまだに暴動が続いている。シアトルのスタバが破壊された写真を見たり、テキサスの若者が開催したコロナパーティで罹患した若者が「こんなはずじゃなかった」とか言いながら死んだり、フロリダのとあるバーのおばさんが「マスクをさせられるのは権利を侵害している!マスクは個人の自由!」とか言い募っている動画を見たりするだに、このアメリカという国は自ら立ち直る気がどうにもない様子だ。

www.jiji.com

www.newsweekjapan.jp

jp.reuters.com

 

どうにも沿岸部以外はマスクもろくにしていない様子。5人とすれ違ったら誰もマスクしていないという地域がこんなにある。

www.nytimes.com

 

中国との対立も激しくなってきており、スパイ疑惑の中国人を指名手配したり、領事館を閉鎖に追いやったり、11社くらいの会社をEntity Listに掲載したり。

 

もはや、日々様々なニュースが溢れすぎていてすべてを追い切れてはおらず、しかもそのどれもが頭が痛くなるようなニュースなので、あまり耳目を傾けずにひたすら仕事に打ち込むことにしてきた。

 

ここにきて、日本は4連休になった。コロナで中止に追い込まれた東京五輪の開会式があるはずだった祝日だ。7月に入ってからその祝日がなくなっていないことに驚いたが、とにかく日本は祝日に突入してしまった。お盆も休みがあるわけだが、日本は一斉に祝日や休日があっても、一進一退のコロナ禍の中で一体休みに何をするんだろうか。アメリカでもカリフォルニア州がついにニューヨーク州を超えてコロナ感染者数ベースでは最悪のペースになってしまった。どこかに出かけられる感じでもない。

www.newsweekjapan.jp

 

シリコンバレー界隈の散髪屋もオープンしかけていたが、結局再度クローズすることになったため、やむを得ず、今週はバリカンをオーダーして、少し自分で髪を切った。サイドをツーブロック気味にして、後ろを刈り上げた。コロナカットとか言うのだろうか、プロが仕上げたものに比べるべくもないが、やむを得ない。

 

WFH環境を整えるべく、あれこれ部屋も変わってきた。

・高さを変えられる机の導入。これは本当に腰痛改善には効果あり。ただ、立ち方を考えないと今度はお尻が痛くなったりするので注意が必要。

・PCモニター台。しばらくアルバムとかで高さを稼いでいたが、正式な台を導入。

・テレカン用のHDカメラ Note PCのカメラだとスタンディングテーブルだと顔が真ん中に来ないのでカメラも購入。

スマホの充電台:スマホの充電とApple watchAirpodsを同時に充電したいので。
・電源延長ケーブル:3つ又の電源ケーブル。5年間買わずに過ごしてきたけどついに購入。。。

電源ケーブルを隠して置けるケース x2:テレビ裏と仕事机の足元に設置。

・リビングにBoseサウンドバーを導入:サウンドバーはPS4に接続。Apple TVはほとんど出番が無くなってきた。リビングにあったOnkyoのコンポを仕事部屋に導入。iPodを聴けるアダプターも再び活用再開。スマホとも繋げられるようにAUX端子接続も活用。仕事部屋にあったコンポを寝室に移動し、妻の本などもすべて寝室へ。

・不要になったソファを1つ捨て、(粗大ごみを捨てるのに200ドルくらいかかって泣きそうだったが)寝室にあったソファをリビングに移動。ソファには新しく猫がひっかき傷を作らないために猫が触らない素材のソファカバーを導入。ソファの場所も変更。

・子どものおもちゃもレイアウト変更。

・不要と思える服やものをどんどん捨てる

 

まだまだ物がたくさんありますが、かなり部屋がすっきりしてきました。ずっと部屋にいると、やっぱり部屋をグレードアップしたくなるのだなあ、としみじみ。

JETRO主催「今後のイノベーションを考える」第4回

JETRO主催「今後のイノベーションを考える」第4回

 

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坪田:前回同様、シリコンバレーでの事業会社の皆さんからの成功体験や仕組みづくりについて伺ったが、今回も事業会社から西城さんと佐藤さんに来てもらっている。今回は事業会社においてスターがどういう心持ちで事業開発に挑んできたのか、どういうアプローチに取り組んできたかを伺っていきたい。WiLの伊佐山さんにはどうやったら日本企業がより活躍していけるかについてのアドバイスを伺っていきたい。

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坪田:まずは、西城さんに伺いたいが、シリコンバレーに駐在した方たちの間でスターだったと思うが、どういうきっかけでシリコンバレー駐在したのか。

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西城中年の星みたいでちょっと嫌だが。。。当時、いいものを作ることで日本企業は成長してきたが、これからの非連続成長の世界の中でヤマハ発動機はどうシリコンバレーを活用できるか、何かやれるのではないか、という形で始まった。当時の常務が発案した。楽器の会社からスピンオフして発動機の会社として成長してきたが、3つ目のヤマハを作ろう、シリコンバレーにも貢献していこう、というテーマで取りくんでいこうというのが当初あったコンセプト。どうやってアプローチするのか、というところか、はスタンフォード大学の櫛田さんやWiLの伊佐山さんにもアドバイスを聞きながら取り組んでいた。ワーストプラクティスは櫛田さんがよく話しているが、ベストプラクティスはなかなかない。誰も書いていない。事業会社では各社ともにPain Pointが違う。トライ&エラーの繰り返しだった。モトボットという人目を集めるプロジェクトに取り組んでいたことと日経ビジネスに取り上げてもらったことを見てもらっただけ。活躍しているわけではない。行動はしていたとは思うが。

坪田:成果について教えてほしい。

西城:ロボティクスという技術と若い世代、デジタルネイティブが持っている価値観、価値にオリエントしている世代。ヤマハ発動機はRVやオートバイでは強いが、シリコンバレーでロボティクスの機会を得るためにはイメージも重要。モトボットのようなわかりやすいテーマが出てきた。事業というよりはまず、技術と人々がエキサイトするプログラムを作り、ブランディングに活用することが出来た。3年間という期間が決められていた。SRIインターナショナルというMenlo Parkにあるエンジニアリング集団と組むことにして、様々な刺激をもらいながらジョイントプロジェクトに取り組むことが出来た。

坪田:簡単そうなのだが、駐在員3年周期問題などもあるが、たった3年でシリコンバレーを代表するSRIと組んだり、本社を巻き込んでプロジェクトを進めたりしていて、西城さんでなければできなかったのでは。西城さんの強さや良さはどういうところで活きたか。

西城:身も蓋も無いが、運ではないか。ただ、ストーリーメイキングはしっかりやった。定性的な話をどうやって共感してもらえるシナリオにするか、というところは作りこんだ。中長期を見据えたストーリーを作ってステークホルダーが支援したくなるコミュニティみたいなものは作れたかもしれない。

坪田:TRIに移った今はどういったビジョンや世界観を創ろうとしているか。

西城ヤマハからの移籍でもただ自分が一緒に組むパートナーが変わっただけでやっていることは変わっていない。ヤマハから変わらず、世界や世の中をカラフルにしようとしている。人間や社会としての成熟を目指す。ビッグフィッシュでなければやらないというのではなく、色んな色がある世界をつくるプロセス、コミュニティを作っていく。いろんな人が自己実現できる世界を作っていくのが自分のビジョン。TRIと今は組んで価値創造をしていっている。

 

坪田:駐在して1年でCVC立ち上げて45憶円くらいを会社に投資させた佐藤さんもすごい実績だが。

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佐藤:まだ何も成し遂げていない・・・。赴任前後で鍵があったとは思う。

1つ目は赴任する前にインターネットで調べると、シリコンバレーで日本企業の意思決定スピードが遅くてバカにされているということを知った。アメリカ企業を圧倒する、という思いがあった。シリコンバレーに対して対等のスタンスで入れたのが良かった。AIとかデータエコノミーや投資の知識は全くなかった。US駐在前にインドに3年間駐在したことがあるのだが、人間の本質は変わらないという学びがあった。

2つ目は目的が当時あやふやだった。赴任前に当時の上司にアポを取って、話をして目的を聞くと、上司は「正直、ターゲットも何も決めていなかった」。ただ、いくつか条件を出された

・日本の本社からの表敬訪問の受け入れは全部禁止しろ、意思決定しに来るならOKにしろ、と言われた。ツアコンダメ絶対

・あと、シリコンバレーの日本人ムラに入るのは禁止シリコンバレームラで何かをかぎ取ってくるのがミッションというお達しがでた。

赴任して西城さんの話を聞いて、ピッチに立ったりしてレポートを作って本社に送るが、本社からの反応も返信も無かった。シリコンバレーはすごい情報量だが、情報の海におぼれていくことになった。

 スタートアップに実際に訪問して渾身のパワーポイントで説明して、一緒にやろうという話をするのだが、プレゼン中に1人また1人と抜けていって若手1人くらいしか残っていない。「どうして、みんな出ていったのか」と聞いたが、例えば、「佐藤さんは47か国のネットワークで一緒に成長しようと言うが、どれくらいベトナムでスケールできるのか、説明できるか?」とか細かい話を聞かれると何も説明できなかった。これは良い失敗だった。

坪田:「日本人ムラに入らない」というのは難しいテーマだったのでは?

西城:だから一緒に飲みに行ってくれなかったのね。

佐藤:苦笑。

坪田:当時、素早く日本人ムラに入らずにどうやってローカルなネットワークを作り上げたのか。

佐藤:会社が唯一くれた武器がネットサービスベンチャーズへのLP出資だった。http://nsv.com/japan/

ここのお二人に色々教えてもらえた。初代駐在員には水先案内人は絶対に必要では。大企業は帰納法での考察が求められるが、未来のことを演繹法的アプローチで考える必要がある。ただ、ほとんどの人には根拠がない。第3者の意見やアドバイスは本当に重要。赴任して1か月でスタートアップを回り始めたとき、ネットサービスベンチャーズにアドバイスを聞いたが、まずは「筋トレ」をしろと言われた。スタートアップ企業について簡潔にスライド1枚にまとめろという話をやらされた。途中で面倒になって1か月後に「まだ2社しかしていない」と言ったらネットサービスベンチャーズの普段はものすごく温厚な校條さんに顔を真っ赤にしてものすごく怒られた。慌ててその後取り組んだが、スライドでエッセンスをまとめる工夫を学んだ。シリコンバレーのエコシステムの中心にはスタートアップ投資というのがある、というのがわかり、自分でやりたいと思い、CVCを立ち上げた。スピードを上げて投資していけばネットワークが広がっていった。

坪田:伊佐山さんは日本企業に対しての取り組みでどういう思いで取り組まれているか。

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伊佐山:西城さんや佐藤さんと同じように日本の大企業のサラリーマンをやっていた。シリコンバレーにきて10年経ち、日本に役立つ技術を探したり、日本企業にシリコンバレーの文化を注入したいということを考えてきた。駐在員3年周期問題とかもあって、同じ詐欺師にみんな騙されるし、どういう風に落とし穴に落ちずに戦えるか、ということを校條さんみたいな方に巡り合えたらよいが。。。自分も水先案内人になることで日本企業にとってのJTBになれればと思った。水先案内人としての価値は貴重だと思った。駐在員が赴任直後に落ちるべきではない落とし穴に落ちずに本質的な活動に注力できるように役立ちたいと思ったのがそもそもの経緯。

シリコンバレーでどういうキャラだと活躍できるか?という話だが、成功する起業家はどういう話と一緒で成功する駐在員には4つ横文字の特徴がある。

 

  • メガロマニア

自信過剰で目立ちたがりのうざい人。過大評価してるくらいの人。メガロマニアは自分を実態より大きく見せないといけない。

常に周りに意識がいっていて、メタ認知。いかに自分と周りを相対化して認識できるかという能力。シリコンバレーはみんないつ技術を盗まれるかわからないが、パラノイア

  • グローバル

多様性。シリコンバレーに来たからこそ、色んな自分が知らない人と組んで何をやるかという話

  • Humanity

愛嬌。外国人と社交した時に「面白い」と思ってもらえるキャラクター性があるかどうか。歴史に詳しいとかスポーツに詳しいとか、動きがはっちゃけているとか。ただ、自分がすごいと言っているだけでは通用しない。

 

日本人は大企業の組織内で普段はこういう特質を抑えている。新入社員の頃にはそういうキャラだった人も中間管理職になるにつれて角が取れて丸くなってしまう。この4つの特質は成功する起業家の特性と変わらない。こいつ面白いとか思われないと誰も話を聞いてくれなくて佐藤さんが経験したように、プレゼンの間に聴衆が1人2人といなくなってしまう。運が良かったと西城さんはさっき言ったが、運は偶然では起こらない。チャンスの神様が前を通り過ぎたときにパッとつかめる人は準備ができている人。どういう人が運が良いか?そういう研究もある。外交的かつ社交的な人でなければシリコンバレーではつらい。

 

坪田:企業における駐在員の活躍の定義とは?

伊佐山:ミッション次第。技術探索や投資とかミッションは人それぞれ。シリコンバレーの風を本社に届けられる人というのが成功と言えるのでは。企業文化はそうそうには変わらない。世の中の不確実性が高まる中で、Bizに勝つために失敗できる環境をまず作り、人事制度や職場環境を変え予算も考えて、、、ということをトップダウンで組織的な意識改革にまで結び付ける必要がある。シリコンバレーに行けばミラクルが起こるというのは他人事。せっかくシリコンバレーに人を置くのであれば、どうやってシリコンバレーを活用するか、デジタルトランスフォーメーションに活かすとか、本社全体を変えるというところまで本社に根回しして社長や役員をうまく転がして会社を変えようという意識を高めていく必要がある。個人がすごくても全くワークしないが。社長の理解があるとか、シリコンバレー駐在員が根回し上手とかいろんな要素が必要。せっかくなので、シリコンバレーにいる日本企業はそういうことを目指してほしい。

坪田:必ずしも素晴らしい駐在員がいても物事が大きく進むわけではないと思うが、うまくいっているときには駐在員の活躍があるとは思っている。

西城:郷に入っては郷に従えではないか。今までの当たり前を変えて動く。何も変えないのはもったいない。いきなり佐藤さんみたいにスタートアップの前でピッチするとかそんな大変なことが出来る人ばかりではない。例えば、ミーティングに集団でなく1人で行く、とか。1人で行くと、自分でいろんな領域を話せるようにしておかないといけない。できるだけ広いカバレッジをもって代表としていく。とか。会社名ではなく名前を先にするとか、名刺を会議の最後に出すとか。日本にいるときとの行動変容が違いを生み出す。典型的な日本人の動き方を変えられたら興味を持ってもらえるかもしれないし、そうなればラッキー。今までと扱いが変わるともっと自分を変えていこうと動けるようになる。

坪田:佐藤さんは西城さんとはエピソードがあるとか。

佐藤:1号ファンドを40Mil USDで立ち上げて3年間で使おうというコミットはあったが、半年でつかった。2号ファンドを作る必要に迫られて色んな本社役員にメリットを説明していったが、とあるグループ会社のトップが2号ファンドに懸念を示していた。表敬訪問禁止なので、来てもらった役員には意思決定はしてきてもらった。シリコンバレーにまだ来てもらっていなかった人だったのだが、その役員には来てもらうことになった。自分が話すと空回りする心配があったのでシリコンバレーに来てもらい、西城さんに話をしてもらうことになった。前打ち合わせしていたのに、西城さんは全く前打ち合わせとは違う話をしてすごい焦ったが、結果的に西城さんの言葉や思いをぶつけてもらって、2号ファンドも立ち上がり、120Mil USDになった。

西城:前打ち合わせ通りに話せるわけないよね。。

 

坪田:移籍の真相について、初代で圧倒的なスピード感で圧倒的な成果を残した西城さんの後任はどうやって作るのか?

西城:私は駐在員だったので有限だった。シリコンバレーで起きていることを日本の中で取り込んで会社として進化して成長の道筋をつけるためにはいろんな選択肢があった。シリコンバレーには人についてくる、という文化・課題はあるが、自分は5年くらいが駐在期限の限界とは思っていた。まずは文化を作るという意味でローカル人材を活用するとか、社会課題を解決する事業とかロボティクスとかそういうテーマ設定はできた。ヤマハモーターベンチャーズを作り上げる中で100M USDのファンドを作ったり、意義を理解してもらったり、と下地作りはできた。後任人事は自分では決められないとは思った。第二フェーズは礎を作ったうえでの展開。べき論ではなく、意思決定者に適切な判断をしてもらうために提案をしてきた。後任についてはあまり提案しなかった。

坪田シリコンバレーで西城さんが人を育てるという面で気にしていた部分は。

西城:投資をしてみて思ったのはすべては人。戦略を作るとか、ではなく、行動やコミュニケーションで決まる。ヤマハのファンドはアーリーステージ向けファンドなので、人を見てチームを見てリスクや限界を理解できているか、とか。人を見るプロにはなれる。技術はどのスタートアップもそれぞれ違うのですべては理解しきれないが、人はみることができる。文化や技術を作るのは人。CuriosityとOwnershipが重要。何かを見たときに面白いと思える発想、会社の話だけど自分事として取り組んでいく、という2つの気持ちが重要だと思っている。

 

坪田:人を育てる上で仕組みづくりという面や設計で佐藤さんが取り組んでいるガレージプログラムについて教えてほしい。

佐藤:スタートアップに話を聞いてもらえなかった苦い経験から来ている。47か国の拠点でそれぞれ苦しんでいる拠点があり、各拠点の人たちにシリコンバレーに来てもらって課題解決をする取り組み。明確なPain Pointが無ければ断る。事前に来る前にもPain Pointがしっかりはっきりしている人たちに来てもらって話をしてくが、大体はPain Pointは間違っているということが分かった。課題解決型で来てもらっているが、課題再定義型のアプローチのようになって帰国する人たちが多い。日系企業シリコンバレー駐在員は現業の深掘りもDisruptiveな課題再定義も深掘りが必要で両方しっかりすることで人材育成につながる。40人くらいにこれまで来てもらっている。帰国者たち同士でつながって更にアルムナイの会を設定し、草の根的な人材育成をしてきている。当事者として取り組むことが重要。

 

坪田:日本企業のこれからを担う世代や経営者にとってシリコンバレーで研修する意義は。

伊佐山:何のために来るのか、という目的によっても変わる。日本企業にはシリコンバレー的な立ち上げは合わない。脱藩のコストが高い。アメリカは個人技で人脈やスキルをポータブルで持ち運びする。日本は長く、働きがち。企業内起業家を増やすのが重要。どういう状況で人が変わるか、起業家精神を持った人に変わるためには。。。

  • 外部環境を変える

失敗には寛容だし、能天気な国がカリフォルニア。明日が来るさと考えられる環境にいるのはリスクテイカーにはとても大事。日本はジメジメしてどんよりしている。

  • 付き合う人を変える
    日本人は同じ課の中でしか飯を食わなかったりもする。シリコンバレーにはいろんな人が働いてる。ほかの会社、組織の人と話す。Biz関係ない人と会うと面白い。学校の先生とか。自分の業界だけではなく、ほかの業界とも意識的に付き合うことで人が変わっていく。Biz関係の人も集まり勝ち。年寄とも若手も仲良くなると、いろんな人が話を聞いてくれるようになる。
  • 自分自身に等価交換できる価値がないと全く相手にされない。

教えてくださいばかりだと話にならない。自分で勉強して、相手にも会いたい、面白いと思ってもらえるのが重要。相手が何を欲しがっているかを根回しして準備するとか。等価交換、一期一会の思いで取り組んでほしい。ぶっつけ本番でノリでやればいいという話ではない。自分が価値が高いものを発信していけば高めあうこともできる。

 

シリコンバレーはこの3つを求めるにはすごい便利。日本人サポートもある。

技術やベンチャーを紹介するだけでなく、WiL的にはそういう人をどう育てるかなども重要な点。国や政府を巻き込んだりもしている。事業会社を巻き込むだけでなく、日本人は上のものに巻かれ系ではあり権威に弱かったりもする。日本を変える勢いでやるような気持ちで取り組んでいる。毎年そういう人が100人200人出てくることで社会は変わっていくはず。小さな成功を増やしていく環境をどうやって作るか。イノベイターをだんだん増やすためにどうするか。ただ、短期的にシリコンバレーのスタートアップに投資するだけでなく、どうやって社内文化作りするか。

坪田:一つ触れられていなかった話題だが、多様性について。日本人は日本人で固まりがち。今回の登壇者を鑑みても年齢層や性別を鑑みても偏っている。日本とUSとでは大いに違う。。カラフルさが組織や日本企業から無くなったときのリスクは何か?

西城:これも役割分担だと思っている。世の中をカラフルにしたいし、カラフルな世の中が社会に実装されてほしいと思ったのでヤマハからTRIに移った。これから先の未来を考えるともっと人間の生き方も多様性が出てくる。男女だけでなく、住んでいる場所とか生きがいとかそれに合わせたサービスとかは多様性になるのが当たり前になる。多様性がたくさん出てくると多様性は当たり前になり誰も言わなくなる。イノベーションも同じで誰もできていないのでイノベーションだとみんなが言っている。誰も改めてイノベーションと言わなくなるくらい普及するのが大事。日本企業は普及するためにコミットするべき。誰かがコミットしないと普及しない。役割分担をしていく必要がある。誰かが掘り起こしたものを世の中にスケールアップしたり、当たり前にして、普及させる必要がある。ここまでやらないと価値が上がらない。多様であることが当たり前になったり、世の中で価値となるものが今までは正解だった量の経済から、個の経済に移っていく。物理的距離、心理的距離でどうMaintainしていくのか、コミュニケーションしていくのかを無理やり、学ばさせられるトライアルさせられているのがCovid-19。一方で、日本は特殊な国。99%は同じ言語を話し、自粛しようと言われたら自粛する国。多様性の意味もUSと日本は大きく違う。USやカリフォルニアでは多様性は当たり前にそこにあるものだが、日本人にとっては多様性はディズニーランドみたいなもので憧れとかやらなあかんものみたいになっている。

日本もこれから不確実性高まるが、それは地図の無い世界みたいなもの。地図が無いと落とし穴に落ちてしまう。地図が無いところでやるべきものは探求。探求するのにはTry & Errorが繰り返されるのでいろんな意見が必要で、論理的に多様性が必要。日本は経済成長する中では同質性や均一性、継続性が重要だったが、これを否定する必要はない。ただ、不確実なことをしていくのであれば多様性が必要になる。多様性について語られなくなるくらい普通になればよいと思っている。

 

坪田:視聴者にシリコンバレーの使いこなすために前向きなメッセージをお願いしたい。

佐藤:私から言いたいのはシリコンバレーは正解を見つけにくる場所ではなく、正解を作る場所」という言葉。正解を作るにはやりたいことも含めて、自分で考えないといけない。やる上で大事なのはシリコンバレーと本社の距離。尊敬する友人の言葉を借りて言うなら、「本社とシリコンバレーの関係は太陽と地球の関係」。離れすぎると凍え死ぬし、近すぎると駐在員は本社の発想から抜けきれないので単なる出先機関になってしまう。自分が燃やされないくらい燃える熱意が必要。熱意は伝播して化学反応を起こす。誰も未来は分からないし語るのは難しい。でも勇気をもって伝播していく。そういう人をどう本社が支えるか。本社はキャッチャーではない。本社をどう動かすか一番わかっている人たち。半年ごとに役割を変えていくくらいのスピード感があってよい。

西城:昨年日本に帰国し、今は日本にいるのだが、シリコンバレーは確かに日本から見たときには夢の国、ディズニーランド、自分たちとは違う国みたいに人々から見られている。本社側がどうするかというと社内のコミュニケーションのハブにはなってほしいとは思う。シリコンバレーからの情報は材料であり、本社側はそれをうまく調理してほしい。情報を気になる人にパスしてあげてほしい。ボールが投げられなければ動かないのではなく、本社がボールを投げても良い。根回しは悪い意味ではなく、合意形成の手段・文化。うまく使えば良い。

伊佐山:佐藤さんのようにシリコンバレー来る前に準備するのは大事。本社の上層部も含めてよく理解できている状態でスタートするのが理想。ただ、駐在しているだけでは何も起こらない。どうやって本社を動かすか、準備をしておくのが重要。

シリコンバレーに来た後はコミュニティにうまく頼ればよいと思う。Pay forwardの文化、気持ちで後進にも貢献していくつもりで。もちろん等価交換できるお土産をきちんと用意するのが重要。日本の大企業は名刺やブランドを引っ提げていくと単純に偉そうだと思われる。個人として謙虚に人と付き合うのが大事。情熱も大事。理屈ばかりに引っ張られるが、みんな頭が良いので、あまり目立たない。ロゴスではなくエトス、倫理観、情熱、好奇心を持って活動してほしい。

 

【PS4】The Last of Us part2 感想レビュー【ネタバレあり】

www.playstation.com

 普通に1も2も結末までネタバレしますので、プレイする予定がある人で、ネタバレ嫌な人はここでブラウザを閉じてください。

 

ネタバレを不意にTwitterYoutubeで食らうのも嫌だったので、駆け足で一気に北米版をクリアしました。それにしても、ここまで賛否両論になるような要素満載の続編になるとは。。。クリア後も再プレイしており、更にガッチマンのプレイ動画もリアルタイムで楽しく見ています。北米版しかやっていないので山寺ボイスなどが聞けて楽しい。

 LGBT要素、大麻、性交渉シーン(私がプレイしたのは北米版なのでカット無し。。。)などなど、暴力シーン以外にもなかなかの問題シーンを相当ぶっこんできていました。確かにポストアポカリプス時代に警察もいなきゃ、大麻も育てるよね、とか。若者も普通に親しんでいるよね、とか。LGBTレズビアンのエリー、バイセクシャルなDina、トランスジェンダーのレブ、などなど、なかなかに満載。アジア人のジェシーにアジア人だから好みじゃない?とか言わせたりとか。一体どれだけの要素を入れ込んでいるのか。

 

下記記事はプレイヤーにどうして選択させないのか、や話題になったポリコレ表現に関しての考察。納得感高い。

turqu-videogame.hatenablog.com

 正直、感染者やクリッカーとの戦いはおまけ要素というか、そう感じてもおかしくないくらい、後半は特に人間ドラマから目が離せなくなります。

 

一言、声を大にして言いたいが、ラストオブアス2も傑作だと思います。

1のような屈指の「名作」かはわかんないけど。

 もう、とにかくプレイしている間は先が気になって仕方がなかったし、ハラハラドキドキする作品であることは間違いが無いです。それは物語の展開もそうだし、ゲームとしても大変完成度が高かったです。ゲームシステムとしては2は1からの正当進化ですが、ゲーム性は確実に上がっており、犬の存在やらほふく前進、スウェイなどの要素が新しい戦略性を追加してくれています。(ほふく前進が加わったせいで、ちょっとかくれんぼ要素がMGS3っぽくなった気もするけど。)そういえば、開発者は発売後のインタビューでMGS2からの影響があるとも語っているようです。あと、スウェイのおかげで結構戦いが有利に運んだこともありました。

 ゲーム中、アイテム取り逃しまくった気もするけど、個人的にはコレクターアイテムとかはどうでもよい派でストーリー重視しているので、そういう意味で何度も動揺させられた、感情を揺り動かされたという意味で、そしてそれはあまり安易ではなかったという点でも高く評価したいと思う。やっぱりね、問題提起とかね、人の心に残るためにはそういう棘とか何かは絶対的に必要なんですよ。後から思い出せないような作品では絶対にパート1にはいろんな面で勝てないわけで。

  あと、もう、どこのシーンも非常に秀逸なんですが、豪雨により沈みゆくシアトルをボートで進んだり、スカーがいつの間にかビルの谷間に作っていた橋を渡るシーン(風にあおられて落ちましたw)、また、スカーの島に潜入するも島が焼け崩れていくシーン、などなど印象に強く残るビジュアルが多く、また再度プレイしたいと思わせるには十分とも思いました。

 感染者たちとの戦いも予想がつかないところもありスリリングでしたが、それ以上にやはりスカーやWLFとの戦いがスリリングではありました。病院でのラットキングとの戦いなどは攻略サイトも読まずにやった初回プレイでは正直相当怖かったです。

  

■予告動画

なぜ予告動画では「ジョエルは生きてるっぽい」演出やセリフにしたのか?

本編にはあの「お前だけを行かせるわけないだろ」のシーンが無い。あのシーンを予告編で観ていた人たちは大半は、てっきりジョエルは生存していて、エリーを応援するために駆け付けるのかと思っていたはずだ。元々、他の開発者インタビューで既に復讐や怒りがテーマになるというのは知っていたので、誰かエリーの信頼する人(多分、Dina??)が殺されてその報復に行くとは思っていたものの、その殺される人がまさかのジョエルというのは予告編に完全にミスリードされていたとも言える。この予告編ミスリード手法は昔だと映画踊る大捜査線2でも同じように窮地に陥るキャラを観客に予告編でミスリーディングさせる手法というのが取られていました。(水野美紀かと思ったら深津絵里が重症それにしてもかなりこれは悪質ではないかな、とも思いました。でも、仕方がないのか?

 

■ジョエル

 というわけで、プレイ開始後、数時間以内にJoelは死にます。もう1人のメインキャラクターとして後から出てくるAbbyによって。しかも、AbbyはJoelとTommyに助けられるシーンもあるし、その時はAbbyをプレイすることになるんですよ。もうね、これだけでかなり拒否反応を起こす人は多いと思います。JoelとTommyが良かれと思って助けたAbbyにJoelは殺されるんですよ。なぜ、ここまで心をえぐる演出をしてくるのか?前作をプレイした人たちはJoelには死んでほしくなかった人が大半だったと思います。とはいえ、2でもJoelを主人公にするには、Joelには既に物語を動かすための原動力が無かったというレビュー記事の指摘もうなずけるところではあります。

 ただ、ジョエルはエリーの回想シーンでは何度も登場します。特にエンディング近辺で「もしも神様がもう一度チャンスをくれたとしても、俺はきっと同じ事をする」というシーンや、エリーがアビーを溺死させようとする瞬間にジョエルのことを思い出すシーンなど、琴線に触れるシーンが非常に多く描かれており、ジョエルのことを思うと、切なくなりますね。。。最後にジョエルとエリーの会話シーンの回想で終わるのですが、まさにこのやり取りはいたたまれなくなるともに、再度プレイしたくなる展開でもありました。

 

jp.ign.com

 

■Part1について 

・そもそも、part1はケチのつけようのない名作でした。語られ尽くしてるところもあるので、レビューを紹介するに留めますが、part1は父性を考えさせられる作品でした。

 

nemutaiyo.hatenablog.com

www.famitsu.com

 

blog.livedoor.jp

 1では感染すると人を襲う存在になってしまう恐怖の病気が蔓延していく世界で、最愛の娘サラを亡くすというどん底の絶望の中で20年の間、どんなことをしてでも生き延びてきた屈強の男ジョエルが助ける羽目になったエリーをファイアフライという組織に送り届けるために長旅をしていくうちに実の娘ではないエリーとの間に絆が生まれていきます。途中、ジョエルが死にかけるシーンもあるのですが、エリーが懸命に助けることでなんとか生き延びます。エリーとの間に確固たる関係が築かれたのちにようやく組織に送り届けることに成功するものの、組織はエリーが持つ免疫からワクチンを作るために意識が無い間にエリーを殺そうとします。ジョエルはそれを知り、組織を結果的には壊滅させ、医師も殺害し、組織からエリーを助け出します。エリーは自分が殺されそうになったことやそのために助けられたこと、組織が他ならぬジョエルに壊滅させられた事実を知らないわけですが、作品終盤でジョエルは「他にも免疫がある人たちがたくさんいたからもうエリーがいる必要は無くなった」と嘘をついてしまいます。エリーは自分が犠牲になることでみんなが助かるなら死んでもいいと思っていたが、この嘘をいったんは受け取める形で1は結末を迎えます。非常にほろ苦い終わり方とも言え、この先の続きがどうなるのか?と思っていた人たちは多かったと思います。

また1はUSを東から西へ数千キロを旅するロードムービーでもありました。季節と土地が変わりながら話が展開していくのが魅力的でもありました。

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https://www.famitsu.com/news/202006/08199025.html

 

 で、なぜ、みんな1をプレイした人たちが2をプレイして衝撃を受けて、悲しんでいるかといえば、やはりゲームなので、Joelに感情移入した方は相当多かったと思うんですよね。1ではJoelの父性・父親性がにじみ出ていき、最後には仲良く話すようになっているわけですが、エリーを守るためにはどんな犠牲も厭わず、恐ろしいまでの執念でファイアフライを壊滅させる様は筆舌に尽くしがたいものがありました。ただ、ゲーム中、プレイヤーはJoelというキャラクターの歪曲した部分、娘の死と向き合わずに生きてきた人間臭い面をまざまざと見ていくことで、いつしか彼と同化していく部分、共感していく部分が出てくるわけですね。プレイヤーはみんな、ジョエルにはどうか生きていてほしかったんですよね。ただ、2がエリーの話になるとすれば、確かにジョエルが生き永らえているのは物語的な必然性は無いんですよね。。。

 1が名作だと言われたのはそういう父性の物語の構造にあったからだと思いますし、そんな感情をひとまず置いておいて2をプレイすることはできないわけです。2はどうしても期待されるし、比較される存在として出てこざるを得なかった。なので、海外レビューなどを中心に2は散々こき下ろされているところがあります。

 

automaton-media.com

 

 

■復讐モノ

さて、それにしても復讐ですよ。復讐劇はとにかく、殺し合いや憎しみの連鎖が続くことによる辟易感・空虚感ではあります。韓国映画で高名な復讐3部作などでもそれは実感するところではありますよね。また、ラスアス2は過去の回想シーンはどれも素敵で、世界崩壊後の世界を描くポストアポカリプスとは思えないくらい明るいトーンだったりもするため、本当にその復讐劇との落差にも愕然とします。エリーはジョエルを失ったことへの怒りと憎しみを原動力にシアトルを進み、犠牲も伴うも、ジョエルを殺したWLFのメンバーたちを追い詰めていきます。

 終盤のサンタバーバラに行く前のシーンでようやくエリーたちは一度、復讐を諦め、仮初めの住処を得て、少し落ち着きそうになるものの、それでもエリーが再度、Abbyをサンタバーバラへ追いかける決断をしてしまうところ、そして最後に農場に帰ってきてももうDinaとJJはいない、という寂しい展開にはなかなかに打ちのめされました。結局、「人を呪わば穴二つ」なんですよね。憎しみの炎は自分をも焼き尽くす。

 

■ギター

 何度も登場するアコースティックギターはこの作品では重要なメタファーですよね。最初から最後まで登場します。最初はJoelがギターを磨き、そのギターをエリーにプレゼントし、そして弾き方をレクチャーして、エリーもまたギターが弾けるようになるんですね。これはおまけ要素なんでしょうけどギターをプレイヤーが少し演奏することもできます。ギターを通して、年頃の女の子であるエリーと特に話すネタが無いJoelはエリーと接することにも成功できたわけです。ギターを通じて、エリーはJoelと過ごした時間を思い出すこともできていたとも言えます。途中、何回かギターを弾く機会が訪れます。Take On Meを弾いて歌う場面もあります。終盤、エリーは復讐に身をやつしたためにアビーとの決戦で左手の指を失いギターが二度とまともに弾けなくなります。牧場に戻り、ギターを弾こうとしても弾けない、そして、ギターを置いて誰もいなくなった農場を後にするエリーというところから、エリーはJoelとの葛藤、過去との決別を果たしていると私は捉えました。(でも、だからこそ、Joelが好きだった人にはもの悲しいラストだったかもしれません。)

 

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■アビー

 アビーを操作すること自体に違和感や嫌悪感を感じる人たちがいる、という話を見て驚きました。個人的にはアビー操作はラスアス2において必要不可欠な要素と思いました。感情移入をできないキャラを長時間操作するのは苦痛というのはわからないでもないですが。突然、アビー編が始まったときに戸惑わなかったプレイヤーはいなかったのではないでしょうか。アビー編が序盤から始まっていれば、プレイヤーにとってはアビーは全く違った見え方だっただろう、という指摘が下記の動画でありますが、全くもって同じことを思っていました。

youtu.be

 今回の話ではアビーがJoelを殺すことで父の敵を討つという復讐から始まります。最序盤でアビーはJoelを殺し復讐に成功します。そのあとにエリーがアビーを追ってシアトルに来るわけです。(しかし、初回プレイではプレイヤーはアビーの事情がわからないままエリーパートをプレイするため、アビーは序盤から中盤はまさにプレイヤーからも憎しみ・嫌悪の対象でしかない。)

・ジョエル殺害における理不尽さ、そんなアビーをジョエル殺害手前までプレイして無事に連れていかなければいけない。

・アビーの苦しんできた過去、助けられなかった父親、父親を殺したJoelへの圧倒的な憎しみの炎。

・そして、その憎しみは自分の恋の相手への気持ちすら捻じ曲げてしまい、好きだったはずの相手とは結ばれないことにもなってしまいます。(このあたりも「人を呪わば穴二つ」がまさに描かれている)

・結局、その後に自分の仲間の大半をシアトルまで追いかけてきたエリーとTommyに奪われます。(このあたりも巧妙というか、本当に、あの場にいたキャラクターはほぼエリーやTommyが倒すことになる)

・そして、アビー自身もエリーに殺されかけるわけです。(それにしても、敵として相対するエリーの強さには舌を巻きました。。。お恥ずかしながら何回もゲームオーバーになりました。。。)このアビーとWLFの仲間たちとの絆であるとか関係性をプレイアブルな視点から描かないとやはり、この憎しみの連鎖の虚しさは表現しづらいとも思いました。2度目の邂逅ではアビーはエリーを返り討ちにするわけですが、アビーは自分が死にかけたり敵と思っていた人たちに助けられたりすることで、アビーにも己の身を賭してでも守らなければいけないものが出てきます。そして、Scarsの一員だったレブの言葉により、エリーを殺さずに再び見逃すわけですね。このあたりで、アビーは憎しみの連鎖・殺し合いの螺旋から降りるわけです。(とはいえ、ジェシーは本当にいいやつなのに本当にサクッとアビーに殺されちゃうんですけども。)

サンタバーバラでの3度目の邂逅ではアビーはエリーに脅されてレブのために戦うわけですが、エリーに追い詰められ殺されかけます。アビーをプレイしている時間も長いため、プレイヤーの中ではこのシーンにもまたアビーにも死んでほしくない、でも憎い、という葛藤が生まれてくるわけですね。本当に憎らしい演出です。エリーの憎しみの炎にプレイヤーもまた焼かれるという構図・演出になっている。

・そういえば、アビーはトミーとも3回邂逅することになります。2度目の邂逅では直接対決が描きだされ、アビーをプレイして遠方から狙撃してくるトミーとの戦いになります。ここでトミーが凄腕のスナイパーということを痛感することになります。(1でもトミーとの共闘シーンは1回しかないし、クロスコンバットなので、狙撃の腕はなかなか披露されることは無かった。)アビーの仲間を殺した憎むべき相手が顔を見るとトミーで。。。という展開はプレイヤーにとっては衝撃というか、ショッキングでもありました。感情のもつれのやり場が無くなる展開でもありました。

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色々な要素について触れようとしましたが、まとまりがなくなってしまいました。

 

 復讐を描くと作劇としてはどうしても、そのバックファイアが必ず描かれると思います。人を憎むというのはそれだけで心身ともに疲弊するものですし、人を憎み続けるのもまた難しいものです。復讐を果たせば、その時はスカッとするかもしれませんが、それでも結局は、更なる憎しみを生むこともあり得ます。憎悪の感情は連鎖するものだし、周りを巻き込んだりもする。

 ジョエルの視点で見れば、パート1のラストで自分が守りたいと思ったエリーを守ったわけですが、結局はその後に事実を知ったエリーからも恨まれ、医者を殺したことでその娘のアビーからも恨まれ、結局はジョエルはアビーによって殺害されることになるわけです。ただ、ジョエルはそのこと自体は覚悟していたのだと思われます。ジョエル視点で描いたから、パート1は素晴らしい作品と評価もされた一方で、作中、ジョエルが殺した人間の数もおびただしい数に上るわけで、誰かから恨まれていても何の不思議も無かったわけですから。敢えて、その復讐劇はパート1では描かれなかっただけで。

 エリーは復讐にこだわり続けた挙句に命以外のほとんどすべてを失います。ジョエルへのどうしようもない許せない感情やアビーに対する殺意は終盤にジョエルの姿を思い出すことにより、けじめがつきます。あそこまでほかの人も殺しておいて、どうしてアビーだけ殺さないのか、というのはあるんでしょうけど、誰かを守ろうとするアビーの中にジョエルの影を見た、というのが正しい見方なのでしょう。

 アビーに関しても復讐を果たしたものの、友人をすべて失い、しかし、守るべきものを見つけてようやく自分の感情の整理がつきます。

自分の経験的にも人を憎み続けても何も発展は無いわけで、前には進めないんですね。そういう意味で気持ちにけじめをつけたエリーやアビーが今後どういう人生を歩んでいったのかは気にはなります。

 

■続編は?

 もし、この話に続編が作られるとしてもこれ以上、復讐というテーマは語られないだろうなあ、と思う一方で、もはや親子の話を語ることもできず、ラストオブアスの世界ではおそらく世界の復元も難しいからには、どういうテーマで語られるのかは難しいところでしょう。(お話的にはJJやレブ、年老いたエリーの話、みたいな続編があってもいいのかもしれないが。)MGSみたいに過去に戻って、ジョエルがテスと知り合うに至る話とか、20年の戦いを描くみたいな話とかなら続けられるだろうが・・・。(それはそれで、トミーがファイアフライを辞めた経緯とかも語られるだろうし、面白いかもしれない。)

 

パート2はやりがいあるゲームと思います。やる価値絶対あり。かと。

 

 

7/17 追記

最近はこういう考察記事も多くてすごくうなずけた記事をいくつか途中に入れ込みました。

 

蛾について、そして贖罪について、など納得感高い。

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