英語公用語に関しての記事。

2010年に書いた記事より。英語公用語化とかそんなことでガタガタ言っているそばからどんどん英語は使えないと人材価値が下がって来ているような時代が近づいて来ているように感じます。



■社内で英語公用語「バカな話」ホンダ社長
http://www.sankeibiz.jp/business/news/100723/bsg1007231827005-n1.htm

私は楽天ファストリの経営方針は別に問題ないんじゃないかなあ、と思います。ホンダとは業種が違う。

日本は高度経済成長期を通じて発展しましたがそれは主に製造業の発展によるものでした。安くて高い品質のものを作る日本の自動車メーカーや電機メーカーは世界中で高い評価を得て世界的企業になっていきました。
ただそれは主に欧米での話で、これから発展していくBOP市場を攻略するために日本の製造業はこれまでの成功の方程式が通じず四苦八苦しています。

また日本の産業や年齢構成も大きく変わりました。一昔は日本の地方には多くの自動車・電機メーカーの工場があり企業城下町が発展していましたが、日本人の所得が上がり物価が上がるに連れて、そして成長市場が海外に移っていき、日本が少子高齢化社会に突入しはじめてからは中国や東南アジアに工場を移していきました。また欧米との貿易摩擦問題を解決するために欧米にも工場を多く建設しました。

当然海外市場攻略にあたっては日本で売れる製品ではなく、海外で売れる製品を作り海外で販売しなくてはなりません。まだネット販売がない頃から、日本の大手製造業は海外で商売を行っていました。 海外に赴任した社員は英語を身につけていくわけですが…。 それまでは会社の潤沢な資金を背景に研修も行えたし、また人材も潤沢な状況だったので即戦力を期待してもいなかったわけです。 ここ数年はずいぶん状況が変わりました。経営は透明化・効率化を株主・市場から求められ大規模な世界同時不況・派遣社員への切り替え・派遣契約満了により、人員はギリギリで回すことになり、どんな企業でも社員を養成・育成する余裕はほとんどなくなりつつあります。
昔は相対的に見て優秀だった日本人の新卒はグローバル競争時代に突入すると途端に苦しむことになりました。
パナソニックは必ずしも日本人を採用するわけではない、と言っているし、ソニーTOEICは650点ないと管理職になれない、という。 日本人の新卒には語学力が足りないわけです。圧倒的に。

確かに日本人だけの会議で英語で喋るのはそりゃ変です。楽天ファストリだって、いくらなんでもそこまでバカじゃない、日本人だけの会議になったら日本語使いますよ、きっと。 ただ、楽天ファストリソニーやホンダで何が違うかというと扱っているものと業態が違うわけです。
ソニーもホンダも製造業ですが、コンシューマー直販ビジネスはあまりやっていない。必ず間には代理店や量販店、ディーラーを挟んで商売しています。だから、一部の人間が英語を話せれば全員が話せる必要には迫られない。話せる人がそういう仕事をすればいいし、そういう仕事をしたい人は話せるようになればいい、努力するならバックアップはする、という態度の会社なんだと思います。

ファストリはメインは小売だし、楽天はネット通販ビジネス、どちらもコンシューマーと面と向かって向き合う必要があるし、話せる「誰か」がいなければ代わりに誰かが話せなければビジネスチャンスを逃してしまうわけです。
そういう意味で海外展開する、ということを計画すると相対的に社員に求める能力に語学力が占める割合も高くなってしまうのは必然でしょう。ファストリ楽天少子高齢化し縮小する日本市場ではこれ以上はこれまでのような高成長は期待できないからこそ、海外展開を計画しているわけでそのためには社員の語学力向上は避けては通れない課題だったのでしょう。コンシューマーと直接やり取りする機会が多いからこそ、必然的に上がってきた課題であり急いで改善しなければならない、という危機感もあるのでしょう。それくらい国際化が図れていない、ということの裏返しとも言えますよね。