バンクーバー2日目

2日目の朝。
今回は出発からして、時間に余裕を持たせていたはずが、余裕は無くなってしまい、出発時刻ぎりぎりに成田エクスプレスに飛び乗り、そうかと思えば右目のハードのコンタクトレンズがいきなり消失し、慌てて探すものの、見つからず途方に暮れていたら上司が発見してくれ、事なきを得たり、と散々だった。よく踏まなかったなあ、と感心する。天気予報を調べれば到着地は雨だと言うし、今回の旅はあまり幸先が良ろしくない。悪い事が重なった時、これを吉兆、と捉えることが出来る人間になることが出来れば気が楽なのだろうけど。

朝9時45分、飛行機はサンフランシスコに着いた。少し前に窓からは陸地が見え、やはり日本とは少し異質なそれは眼前に広がると奇妙な感慨をもたらした。500年以上前にアメリカ大陸が西洋人に「発見」されたとき、広大に続く海の果てにこのように肥沃な大地が広がっていたことは新鮮な驚きをもって迎えられたのだろうなあ、と。

余裕満々でトランジット、2時間半もあるから大丈夫だと思っていたら酷い目に遭うことになった。長くなるからやめようかとも思ったが簡単にまとめるとトランジットで時間が無いにも関わらず、近道の入国審査ゲートに向かわなかったせいで、やたらと時間を浪費し、結果的にフライトを逃したのだ。都合、次のフライトに割り振ってもらうことになったのだが、順番待ちだという。上司はプライオリティメンバーだったので、問題無く座席をキープ出来、私だけ宙に浮いたまま、5時間弱待つことになった。日本はちょうど、夜明けの頃だが、気が気ではないので、眠れるはずもない。上司のプレミアムプライオリティパスのおかげでラウンジで仕事をしながら延々とフライトを待ち続け、結局、17時にゲートに向かい祈るような気持ちで待った。その間もチケットカウンターでもお祈りしていたが、9人いるウェイティングリストの中では一番上だったので、なんとか無事名前を呼ばれ、座席を確保することが出来た。正直言ってここまでの疲れが吹き飛ぶかのような気持ちだったがとうぜん眠い。ほぼ飛行機機内でもラウンジでも眠れなかったためだ。ウェイティングリストに名を連ねていた9人のうち、まともに名前が呼ばれたのは私を含め2人だけだった。もう一人も日本人で安心した顔をしており、「よかったですね〜」と言いあった。

さて、ようやく長々と滞在したサンフランシスコ国際空港を後にしてバンクーバーへ。飛行機はひどく狭く40人くらいしか乗れなさそうな機体だった。国際線扱いだが、当然機内に映画観れるシステムはない。ああ、ANAが恋しい。スターアライアンス系なのでマイルが貯まるのが唯一の救いだ。

飛行機では持って来ていた二冊目の小説も読み切ってしまい、帰りにやることを無くしてしまい、途方に暮れながら眠りについた。あっと言う間にバンクーバーへ着いた。夜の20時を回っていると言うのに日は高く、まだまだ明るかった。これはかなり北寄りの国に来ている関係だろう。空港を歩き、入国審査と荷物を受け取り、どうにか、空港からタクシーに乗ることが出来た。

晩御飯は街中にあるオイスターバーを選択。これがまた雰囲気が良く、オイスターも美味で非常に満足。うん、やはり地のモノを食べていかないとなあ。ホテルに戻り、ようやく眠りにつける、と思いきや、仕事のメールが山積しておりそれを処理してから夜中の1時半に就寝。とても辛い日々の始まりとは思いもよらなかった。今回宿泊したバンクーバーのホテルは非常にベッドが心地よく、気持ちよく眠ることが出来た。あんなにフカフカのベッドはそうそうに経験したことがなく、これまでの私の出張生活の中でもベストオブベッドの勲章を捧げたいほどの良さだった。あんなベッドで毎日眠りたい。