スタートアップピッチ

シリコンバレーのスタートアップピッチを初めて見に行きました。今回は某大学の施設の会議室を借りて行われました。参加は無料でした。

比較的ものづくりやハードウェアに近いスタートアップが4社ほどピッチに立ち、1社30分くらいで各社が自社の強み、ビジネスモデルなどを紹介し、アライアンス組める会社や出資先を募るような構成。プレゼンの内容や質疑応答も含めて、非常に興味深かったです。
私の仕事はセールスであるので、はっきり言ってこの手の仕事は私の仕事ではなく、先輩が取り組む仕事であり、私はたまたま間を取り持ち顔をつなぐような形になったのですが、案外と出席出来てとても楽しかったです。

何より今回のスタートアップピッチは観覧してる側はほぼ全ての方が日本の製造業、しかも主に大企業でして、コーポレートベンチャーキャピタルサイドやR&Dの方ばかり20数名が来られていたのです。スタートアップピッチの前には名刺交換があり、また後にも懇親会がありまして、様々な方々と意見交換が出来ました。新聞社の記者さんも来てたりして…面白いのはそういう人がスタンフォード大学へ企業派遣で来てたりするところ。また、リーンスタートアップを企業内で立ち上がることを目標にして、各日本企業がシリコンバレーアクセラレータプログラムのために企業派遣で若手を派遣したりしてるのも興味深かったです。

日本企業はバブル崩壊後に一斉にシリコンバレーから居なくなったという過去の歴史もあるため、あまりイメージが良くないなどという話もありますが、ところがどっこい、日本の名だたる素材系の企業はどこもしっかりと人材をこうした場に派遣しており、きっちりと新規事業開発やら新事業の模索、スタートアップとのコラボレーションや買収検討をやってるわけなんですね。

N社、A社、K社、S社などの有名化学系やら印刷機屋さん、EMS系やら中には重工業関係などもいらっしゃって本当に様々な日系の優良企業が集っていました。また、そこから出席されてる方の素性も極めてしっかりされた方が多く、とても面白いお話がたくさん聞けました。今後も余裕があれば出てみたいと思います。

会の雑談の中で気になった話題はいくつかありますが、

コーポレートファイナンスとマーケットファイナンスではお金の出し方もスタンスも違う。コーポレートは自社の事業の延長線上、マーケットファイナンスはディールで儲けることが全て。アプローチがまるで異なってくる。

三星IBMなど会社によってもお金の出し方や口の出し方は異なってくる。様々な会社からお金を投資してもらう会社などは情報やプライオリティのつけ方が大事になってくる。

・自社の強み分析の難しさ。新規事業開発するとしてもメーカーだとどうしてもその分析無しには難しいのでは?という話。自社の強み分析は製造やら設計やら色々あるはずだが、案外と中からだとわかりづらい。

・あと、ここ最近シリコンバレーのスタートアップの資金調達がうまくいかない事例が出てきており、ベンチャーキャピタルやファンドの中でも経済の成り行きから慎重論が雰囲気的に出始めてる、という話。昨年内にイグジットしたところは今年は結構積極的にお金を入れてくるのでは?という見立てもあるとのこと。

・あと、家畜向けとペット向けではウェアラブルはどちらが流行るか?BtoBで数量狙うと家畜だが、ペットの方が消費者はお金は出してくれるのでは? ペット向けウェアラブルはペット保険と組み合わさっていくと非常に強いビジネスモデルになるだろうということ。ペット向けウェアラブルがペットの歩数も摂取カロリーも計算してくれるので、ペットの健康状態もモニタリングできて、なおかつ、リスクをどう勘案するかも含めて面白いかもねーという話。


良いプレゼン、悪いプレゼンも見れたり、日系企業各社がどういう視点で新規事業を捻り出そうとしているのか?とか大変勉強になりました。

新規事業と一口に言ってもなかなか難しいものですよね…。今回のピッチで言えば、発表する側には出資者が欲しい、見る側は新規事業の種が欲しいというウィンウィンの会になってはいるものの、日本企業がこの手の新興企業にどれくらいの勢いで出資して成功させられるのか?というとちょっと疑問にも思ったり…

あと、アクセラレータプログラムでシリコンバレーでスタートアップを立ち上げることを学ぶ意味ってなんなんだろう…とは思いましたが、講師陣もかなり良いとのことで、そういう意味ではここにきている日系企業の方々は将来の各社の命運を背負ってるのだろうなあ、と感じました。