【記事へのコメント】ファンドが導く素材再編 日立や三菱マテ、構造転換急ぐ 日経産業新聞

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業界再編は不可避。
・高度経済成長期以降、化学系メーカーは基礎化学品プラントからの誘導品を中心にしつつ、各社が総花的に様々な事業に手を出してきた。

・しかし、各社が類似の分野に乱立する中で、優勝劣敗も明らかになってきた。コモディティ材料は再編されたものもある。(PE、PPなど)

・日本は従来、こうしたSpecialty Chemical分野の素材では強かったが、素材を採用する電機メーカーの衰退や自動車メーカーの今後のCASE対応による業界変化もあり、いつまでも安泰というわけにはいかなくなってきた。EV関連などでは中国の素材メーカーなどとの競争も激しくなってきており、利益を維持しづらくなってきている。また、脱炭素の流れもあり、化学業界には逆風が吹いている。基礎化学などでは国内需要減退なども逆風。

・他国のメーカーとの競争に打ち勝つためには投資額も増やさないといけないが、広範な事業分野でそれぞれに投資を継続するよりは、自社の集中すべき分野を選択し、集中投資することで一点突破していく必要が出てきている。

・今後の成長性を鑑みて選択した事業に集中投資しつつ、一方で選択されなかった事業は売却の対象になっている。なかなか解雇規制が緩くならない日本では、雇用整理の意味合いもあろう。

 

この記事で面白いな、と思ったのはファンドが徐々に時間のかかるこうした分野へ進出してきていること。時流の変化をきちんと見据える必要がありそうだ。

ファンドにより変貌や再生を果たした企業はあるものの、金属や化学など伝統的な素材産業を巡る過去の大型再編は、事業会社同士によるものが大半だった。例えば、10年の三菱ケミカルホールディングスによる旧三菱レイヨンの買収や、12年の旧新日本製鉄と旧住友金属工業の合併による今の日本製鉄の誕生などだ。

西村あさひ法律事務所の臼田啓之弁護士は「新型コロナウイルスに伴う金融緩和により、余剰資金が潤沢にある状況でバイアウトファンドも乱立する中、資金がどこに向かうのかに注目している」と話す。レコフによると21年1~10月の日本企業のM&A件数は、3533件と過去最多となるなど再編機運も高まっている。ファンドが触媒となることで、小規模なM&Aにとどまっていた国内素材産業の再編に新たな節目が訪れる。

 

中略

 

「ファンドの活用広がる」
――素材産業でファンドが関わる再編は今後増えていくのでしょうか。
昭和電工などの例をみると素材産業にもファンドを活用し、業界を活性化しようとする流れが来ていると感じる。素材産業はどちらかと言うと伝統的な業界で、これまではファンドへの抵抗も大きかったと思う。プレーヤーが多い割には対応が遅れており、産業構造の転換は以前から課題だった。今後も広がりは出てくるはずだ」
――これまで案件が少なかった背景をどのように分析しますか。
「素材という事業は非常に重たい。新製品をつくるにも時間がかかり、設備投資の償却に10年以上かかることも多い。製造工程もかなりスリム化されており無駄が少ない。サービスや外食、小売りといった多くの人が働き、IT化などで短期的に結果を出しやすい産業とも異なる。もう少し奥が深くファンドによってはこうした点に、耐えられない会社もあったかもしれない」